解体費用をなるべく安く抑えたい!と思う人は多いのではないでしょうか?
その後新しく家を建てるにしても、土地を売るにしても、壊すのですから費用を抑えたい気持ちはよくわかります。しかし費用を極端に値引きしたり、見積りが相場と比べて安すぎる業者を選んだりすると、解体工事を失敗する可能性が高くなるのです。
実際に費用を抑えすぎて工事を失敗した事例は数多くあり、中には依頼した業者が悪徳業者で、あとから高額な追加請求をされたという事例もあるほどです。
そこでこの記事では解体工事費用を抑えすぎて失敗した例や、安すぎる業者に注意すべき点を紹介します。実例を知ってどんな業者を選べばいいのか、参考にしてみてください。
目次
まず安すぎる業者に依頼して失敗したケースには、どんなものがあるのか見ていきます。また不安を感じた場合の対応方法も一緒に紹介します。
解体工事は慎重な作業が求められ、素人にはわかりにくい部分も多いので、施主側に疑問や不安はつきものです。だからこそ疑問や不安があれば、質問することが求められます。
そのとき業者に失礼にならないように聞けば、その後のやり取りも円滑に進むので、質問をするのはとてもおすすめです。
第一に挙げられるのは、手抜き工事です。例えば解体工事は普通、養生シートを設置してから施工するのが一般的です。この養生シートは、工事で発生する騒音や振動、ほこりの飛散等を防ぐ役割をしています。
しかし安すぎる業者の場合、養生シートではなく簡単なブルーシートを使用するといったケースがあるようです。すると騒音や振動などは、外に多く漏れることになり、近隣住民からクレームが入りトラブルになってしまった事例があります。
見積りのとき、養生シートを使う仮設工事費の項目が安すぎると不安を感じた場合、「仮設工事で使う養生シートはどんなものを使いますか?騒音や振動で近隣へご迷惑をかけてしまった場合、どのように対応していただけるのでしょうか?」といった感じで、実際に現物を見せてもらうなど、クレームが起こったときの対応方法まで確認しておくと良いでしょう。
解体工事の騒音については、こちらの記事にまとめましたので参考にしてみてください。
見積り費用が安すぎると、高額な追加費用を請求されることがよくあります。そもそも必要な費用が見積りに入っていないので起こることなのですが、悪徳業者となると初めから高額な追加費用を請求するつもりで、顧客獲得のため安く見積っていることもあるのです。
悪徳でないにしても、追加費用自体はどんな業者でも発生する可能性があります。
そこで「どんな場合に追加費用が発生するのでしょうか?また追加費用が発生する場合、どんな手順をふみますか?」など、追加費用が発生する場面と、手順を確認しておくと良いでしょう。
またその際、追加費用が発生する場合の対応方法を、契約書に記載してもらうようにしてください。
解体工事における追加費用については、こちらの記事にまとめましたので参考にしてみてください。
解体工事で出た廃棄物の処分方法は、運搬から最終的に処分されるまでがおおよそ決まっています。したがって廃材の処分費用はほとんど削ることができないはずなので、この項目の見積りが他と比べてかなり安い、または項目自体がないような場合には注意が必要です。
例えば、きちんと処分されなかった廃材を業者側で一定期間保管し、最終的に不法投棄されるといった事例もあります。解体工事で出た廃棄物の処分方法は法律で定められているため、不法投棄は法律違反となります。そして解体工事で出た廃材の持ち主は施主となるため、責任を問われる可能性があるのです。
そこで解体業者は廃棄物をどう処理するのかが記されたマニフェストを用意しています。不安を感じたのであれば、「廃棄物の処分はどのような流れで行われますか?産業廃棄物の収集・運搬・処分のマニフェストを確認させてください。」など質問してみましょう。
不法投棄については、こちらの記事にまとめましたので参考にしてみてください。
解体工事費用が安すぎると、人件費などを削減することが多くなるため、工事自体が雑に行われることに繋がります。
雑な工事は事故が起こったり、騒音等を配慮せず近隣トラブルとなったり、良いことはありません。裁判にでもなってしまえば、いくら費用が安くても成功したとは言えませんよね。
見積りを項目ごとに比較し、足りない部分は「このような場合、どう対処するのでしょうか?」など確かめておく必要があります。あわせてクレームが発生した場合に、業者としてどのように対応するのか聞いておくと良いでしょう。
解体工事で発生しやすいトラブル、騒音問題については、こちらの記事にまとめましたので参考にしてみてください。
解体工事費用の支払い方法は、工事の進捗具合に合わせて、費用の2~3割ずつ払うといった分割払いか、解体工事後の全額支払いが一般的です。しかし業者によっては、工事の着手前に一括で支払いを請求してくることもあります。
ですがこの場合、悪徳業者や経営が厳しい業者の可能性が高く、最悪の場合、工事が途中であっても作業を放棄されてしまうこともあります。
まれなケースではありますが、「一般的には分割払いもしくは後払いのようですが、何か理由がありますか?」と質問する、または依頼をしない方が無難と言えます。
工事費用が安すぎる業者の場合、マナーの悪い職人さんを使っていることがあります。養生費用を削り、簡易トイレを設置せず、現場付近で用を足され、近所トラブルになったという事例があります。
「近隣住民の方には、どんな配慮をしていただけますか?どんな方が実際に作業をしてくれますか?」など聞いておくと安心です。
解体工事をするのに保険未加入の業者にも、注意してください。
どんな解体工事現場であっても、隣家のブロック塀を壊してしまった、近隣住民に怪我を負わせてしまったという事故は起こる可能性があります。その際の補償は普通業者が負担しますが、保険に加入していればもしものときの備えをしっかりしていると判断できますよね。
「解体工事が初めてで不安なので、保険の控えなどがあれば見せていただけないでしょうか?」と不安であることを伝えつつ聞けば、失礼にならずに済みます。保険に入っているか教えてくれない業者は、依頼するのを避けましょう。
解体工事費用が他と比べて安いからといって、すべてが悪徳業者であるとは言えません。正当な理由があり、安くなっている場合もありますので、順番に説明していきます。
解体業者は、会社の規模もさまざまです。元請け・下請けという会社の構造になっていると、依頼を受けるのが元請け業者で、実際の工事をするのは下請け業者です。すると元請け業者から下請け業者に工事を発注することになり、手数料(中間マージン)が発生し、費用が割高になります。
そのため解体工事を自社施工している業者の方が、費用は安くなる傾向があります。
自社で作業員を確保していれば、あらためて外部の職人に頼む必要もないので、その分安くなります。
先ほどの中間マージンと考え方はほとんど同じで、業者が職人に依頼すると余計に費用がかかります。したがって、解体工事を実際に行う作業員を確保している業者は、人件費の面で安くなります。
自社で解体工事に使う重機を保有している場合も、費用が安くなる傾向が強いです。保有していない場合は、重機をリースする必要があり、リース代を請求の対象として見積りにのせてくる業者も多いです。
自社で重機を保有しているため、他の業者より見積りの価格が安いというのは正当な理由と言えます。
解体工事をするのに、収集運搬業許可などを持っているだけで、廃材の処分費用は安くなります。さらに言えば、自社で処分場を持っている業者であれば、もっと安くなるでしょう。
自社で収集・運搬・処分を行っていない場合は専門業者に依頼することになるので中間マージンが発生してしまうからです。
また費用の面だけでなく、収集運搬業許可などの保有業者は、建設会社やハウスメーカーの下請けに入っていることが多く、暴力団と関係している可能性も低くなるため信用がおけます。
経営状態が赤字だと許可は更新できないので、良好な経営をしている業者であるとも言えますね。
解体現場と業者の事務所等が近く、費用が安くなることも正当な理由です。
単純に距離が近い方が重機を運搬するときのガソリン代も安くなるからです。複数業者から見積りをとってみると、違いがわかるかと思いますので1度確認してみてください。
解体工事費用は正当な理由があって安い場合もありますが、やはり安すぎる場合は依頼を慎重にした方が良いでしょう。また、初めの見積りから過剰な値引きをする解体業者にも注意が必要です。
安いことに喜ぶだけでなく、なぜその値引きをするのか理由を確認してください。説明してきた通りに正当な理由のうえで値引きが行われるならわかりますが、削れないはずの項目を削って値引きをしていることも考えられます。
値引き交渉をするときには、一つ一つ確認しながら担当の人とよく話し合うと良いでしょう。
解体工事を失敗しないためには、複数の業者から相見積りをとるのをおすすめします。解体工事は高額になることも多く、なるべく費用を抑えたいという考えはよくわかります。ですが安すぎても、失敗すると結局損をしてしまったということになりかねません。
また相見積りをとったら、費用総額だけでなく、項目ごとに比較するようにしましょう。足りない項目があるときは要注意です。なぜその項目がないのか、しっかり確認してください。見積りを複数とると、中には一式見積りと言って、「解体工事費用○○円」と表記されているものもありますが、このような業者は論外ですので依頼を控えた方が良いでしょう。
解体工事の見積り項目は一般的に以下のように4つに分けられることが多くなります。
仮設工事費用:工事前に必要となる費用 |
養生シートの設置 足場の設置 簡易トイレの設置 敷鉄板の設置など |
解体工事費用:解体にかかる費用 |
家屋の解体 重機回送費 現場管理費など |
付帯工事費用:解体する本体とは別に撤去が必要となる物にかかる費用 |
残置物の撤去や運搬費 井戸の埋戻し費 ウッドデッキの撤去・処分費など |
諸経費 |
各種届出費用 事務手数料など |
解体工事費用が安すぎる業者に依頼した場合は、以下のようなリスクがあります。
このようなリスクはトラブルを招くことにもつながります。リスク回避のためには、複数の業者から相見積りをとり、項目ごとに比較することが重要です。
安すぎる解体業者を選んで失敗しないように業者選びは慎重に行いましょう。
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