施主も罰せられる?解体工事で不法投棄をしない業者の見分け方

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解体工事で不法投棄をしない業者の見分け方

時々テレビや新聞のニュースで、解体工事業者による不法投棄事件が取り上げられます。

不法投棄は犯罪なので投棄した解体業者は処罰を受けることになりますが、施主も罰せられてしまうのでしょうか?

また、施主として何らかの責任を負うことになるのかどうかが気になる方も多いと思います。

そこで本記事では、不法投棄が行われた場合の施主(工事発注者)の責任や、不法投棄をしない解体業者の見分け方について紹介します。

廃棄物の不法投棄とは?

廃棄物の不法投棄とは?

不法投棄に関する明確な定義はありません。

しかし一般的には、道路への空き缶やたばこの投げ捨てから、他人の敷地や山林へのゴミ捨てなど、指定された場所以外にものを捨てる違法行為のことを不法投棄といいます。

本記事では、主に解体工事で発生した産業廃棄物の指定場所(処分場等)以外への投棄のことを指します。

不法投棄に関する法律と罰則

不法投棄は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下廃棄物処理法)」により罰則が定められています。

不法投棄をした者については「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する」となっており、未遂でも罰せられます

そのため、不法投棄を行なった場合は比較的重い刑に処されるといえるでしょう。

不法投棄の事例

不法投棄事件はインターネットで検索すると、さまざまな事例を見ることができます。

解体工事に関する不法投棄事件には、次のようなものがあります。

  1. 新潟県内で解体工事等に伴って排出した石膏ボード等の廃棄物54トンを不法投棄した疑いで被疑者10人が検挙(うち5人を逮捕)された。(新潟県ホームページ)
  2. 山梨県道志村の山林に木造建物の解体で発生した産業廃棄物(約1.5トン)が不法投棄された事件で、懲役1年(執行猶予3年)、罰金50万円の刑罰が確定した。(山梨県不法投棄監視協力員たより)
  3. 千葉県茂原市内のガソリンスタンド解体時に発生したコンクリート片を他人の土地に捨てたとして廃棄物処理法違反容疑で2名が逮捕された。(産経ニュース)

この他にも、日本では度々解体工事に関連した不法投棄が問題になっています。

不法投棄によって起こる問題

不法投棄は廃棄物処理法により禁止されていますが、廃棄物処理法の設置目的は「生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ること」となっています。

そのため、不法投棄が行われると、身の回りの生活環境公衆衛生、そして少し視野を広げれば気象や生き物の生態系などにも重大な影響を与えかねないといえます。

また、土壌汚染や水質汚染などの環境汚染を引き起こす原因にもなっているのが不法投棄です。

身近なところでは、不法投棄で堆積した廃棄物から火災が発生するケースや、悪臭や害虫が大量に発生する原因になるケース、他の廃棄物の不法投棄を誘発するケースなどが考えられます。

解体工事で不法投棄したら施主も罰せられる?

解体工事で不法投棄したら施主も罰せられる?

ここで問題となるのが、「解体工事業者が不法投棄をしたら施主も罰せられるのか?」ということではないでしょうか。

この章では、解体工事で不法投棄が行われた場合の施主の責任について考えてみましょう。

責任があるのは解体業者、処理業者

実際に産業廃棄物の不法投棄が行われた場合に罰せられるのは廃棄物処理法では「不法投棄をした者」となっているため、基本的に施主が罰せられることはありません

罰せられるのはあくまでも解体工事会社や中間処理業者です。

不法投棄と知りながら発注すると罰則の可能性あり

廃棄物処理法上で罰則対象となるのは、排出事業者(解体業者)、廃棄物収集運搬業者、廃棄物処分業者、各事業者の代表者又は従業員、偽って許可を名乗った者となっています。

このため、解体工事を発注しただけの施主が罰せられることはありませんが、不法投棄が行われることを事前に知りながら発注した場合には、施主に対する発注責任が問われることが考えられるので要注意です。

また、不法投棄などの違法行為が行われていないかどうかの確認を怠った場合にも、責任を問われる可能性がゼロではないので注意が必要です。

不法投棄をする悪徳業者が減らない理由

不法投棄をする悪徳業者が減らない理由

不法投棄の新規判明件数はピーク時の平成10年代前半に比べて大幅に減少しているとのことですが、令和元年度で年間151件(前年度155件)もの悪質な不法投棄が新規に発覚しするなど、未だに跡を絶ちません。

産業廃棄物の不法投棄が減らないのには、いくつかの社会的な背景があるといわれています。

  • 産業廃棄物の排出量と比較して処分場が慢性的に不足している
  • 廃棄物処理技術の向上による処理費用の増加

このような背景がある反面で、解体業者の中には廃材の処分費用を削減して利益を増やしたり、不法投棄を行っている悪質な業者がいまだに数多く存在しています。

また、廃棄物を分別する手間を省こうとしたために処分場で受け付けてもらえず、結果的に不法投棄を行うケースなどもまれに発生しているようです。

解体工事で不法投棄しない業者の見分け方

解体工事で不法投棄しない業者の見分け方

不法投棄されるリスクを避けるためには、業者の選定を慎重に行うことが大切です。

この章では、どのようにして不法投棄していないことを見極めて悪質な業者を回避すれば良いのかを紹介します。

解体工事に必要な許可や登録を保有しているか?

家屋の解体工事を行うためには、建設業許可証(建築工事業、土木工事業、解体工事業等)または解体工事業登録(税込請負金額500万円未満の解体工事が可能)を保有していなければなりません。

工事を依頼する際には業者に許可証や登録番号の提示を依頼して、必ず許可や登録を確認することが大切です。

建設リサイクル法の届出をしているか?

コンクリート、コンクリートと鉄からなる建設資材、木材などが使われている床面積の合計が80㎡以上の建築物の解体工事は、建設リサイクル法の対象になります。

建設リサイクル法の対象となる工事を行う際には、発注者及び自主施工者は、工事に着手する7日前までに都道府県知事への届出が義務付けられています。

通常は解体業者が施主の代理で届出を行いますが、悪質な業者の場合にはこうした届出を行わずに工事に着手してしまうことがあるので要注意です。

建設リサイクル法の届出を行っていない場合には、不法投棄が行われる可能性が高いといえるでしょう。

建設リサイクル法については、以下の記事を参考にしてください。

見積書に詳細が明記されているか?

見積書に、どんな工事にいくらかかるのかという詳細がわかりやすく記載されているかどうかも重要なチェックポイントのひとつです。

廃棄物処分にもそれなりの費用がかかるので、見積書には項目ごとに数量と単価がわかりやすく表示されていることが大切です。

見積書に詳細が明記されておらず「一式 ○○円」となっている場合には、業者を疑ってみた方が良いでしょう。

相場と比べて見積りが安すぎないか?

事前に複数の業者から相見積りをとって比較した際に、他社と比べて極端に見積金額が安い業者には注意が必要です。

解体工事で発生した廃棄物が不法投棄されたり、着工後に想定外の追加工事を請求されたりする可能性があります。

また、見積書提出後に極端な値引きをする業者にも要注意です。理由を聞いて納得のいく回答が得られなかった場合には、契約を回避した方が無難でしょう。

安すぎる業者の注意点については、以下の記事を参考にしてください。

廃棄物の最終処分先について明確な説明ができるか?

廃棄物の最終処分先とは「ゴミ処分場」や「ゴミ埋立地」などのリユースやリサイクルが困難なものを処分するための施設のことをいいます。

解体工事で発生した廃棄物については解体業者が責任を持って処理することが求められるので、廃棄物の最終処分先について明確に説明できない解体業者には注意が必要です。

見積提出時には、廃棄物の最終処分場についても確認しておくと良いでしょう。

工事後にマニフェストのコピーを発行してもらえるか?

建物を解体して発生した産業廃棄物を処分する際には、廃棄物の排出事業者(解体業者)が「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を記入して交付することが義務付けられています。

廃棄物はさまざまな業者の手に渡りながら処分されますが、その間に不法投棄が行われることがないように、マニフェストで廃棄物の流れを正確に把握・確認できるようになっています。

廃棄物の処分が無事完了すると、マニフェストのE票(最終処分終了票)が排出事業者(解体業者)の手元に戻ってきます。

この際、解体工事終了後に解体業者からマニフェストE票のコピーをもらって確認しておくと安心です。

万一マニフェストの提示を断られてしまった場合には、その業者は信頼できないといえます。

ただし解体業者が自社で産業廃棄物の運搬・処分・最終処分まで全て行っている場合には、マニフェストの交付は義務付けられていません。

その場合には、廃棄物が適切に処分されたことがわかる何らかの書類をもらっておくようにしましょう。

優良業者の見分け方については、以下の記事を参考にしてください。

まとめ

ゴミの不法投棄は環境汚染を引き起こす大きな要因となっていて、解体工事とは決して無関係ではありません。

そのため、「不法投棄をなくす」ためには良識ある解体工事業者に工事を発注することが不可欠です。

解体業者の不法投棄は発注者一人ひとりの意識で防ぐことができるので、注意深く業者選定を行い、発注後の確認を怠らないようにしましょう。

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この記事のライター

亀田 融

東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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