遠方にある実家が空き家になっている場合や、不動産を相続したものの更地にしないと売却が難しい場合など、解体工事が必要になるケースはさまざまです。
しかし空き家を放置すると、知らないうちにたくさんのリスクを抱えていることもあるのです。
本記事では、解体工事を先送りすることで発生するリスクや遠方の解体工事の対策について紹介します。
目次
遠方である場合、解体業者を探したり見積もりをとったりするのに時間がかかるため、解体工事計画を先送りにしてしまいがちです。
しかし解体工事はなるべく早めに行った方が良いといわれています。ここでは、遠方の解体工事を先送りにしてはいけない9つの理由について解説します。
建物の状態などによっては、期間を空けずになるべく早く解体工事をした方が良いケースがあります。
空き家が近隣に迷惑をかけるような不適切な状態が続く場合には、空き家対策特別措置法に基づき「特定空き家」に指定されます。
特定空き家に指定されると固定資産税の優遇措置がなくなり、収める税金も最大6倍になるリスクがあります。
そのため、特定空き家に指定された場合や指定される可能性が高い場合は、なるべく早めに解体工事を行う必要があります。
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2つ目の理由として挙げられるのが、売却や借地返却の期限が迫っている場合です。
借地契約満了時や借地を利用する必要がなくなった時などには貸主(地主)に土地を返却しますが、その際は原則として借地上に建っている建物を取り壊し更地にして返還します。
このような場合は解体完了の期限を設けられることも多いので、早め早めに計画を進めていく方が良いでしょう。
また、譲渡を前提とした解体の場合に適用される「相続等により取得した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除」ですが、これには期限があるので注意が必要です。
譲渡期限については、相続開始以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡と定められているので、解体工事にかかる期間も考慮して計画を立てていきましょう。
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遠方の建物の解体工事を先送りにすることで発生するリスクとは、どういったものが考えられるでしょうか。
ここでは、解体工事を先送りにしてしまうことで起きるリスクについて紹介します。
住民がいなくなった建物は急速に老朽化を起こすため、時間が経てば経つほど売却が難しくなってきます。
また、売却先が見つかったとしても資産価値は低くなるので、思っていたより安値になる場合もあるでしょう。
空き家が老朽化を起こし、倒壊の危険や防犯面で問題が生じたりすると、特定空き家に認定される可能性が出てきます。
特定空き家に指定された場合、自治体の判断で行政代執行による強制的な解体が認められています。
この時にかかる解体費用は建物の所有者に請求されます。また、支払いをしない場合は国税滞納処分とみなされ、強制徴収を受ける可能性もあります。
自治体の命令に従わない場合は最大で50万円以下の過料を課せられる場合もあるので、督促を受けた段階で急いで解体工事について計画を進めていく必要があります。
遠方で適切な管理をしていない空き家は、ゴミが投げ込まれたり不用品を許可なしに置かれるなど、不法投棄をされる可能性があります。
誰も監視していないので、ゴミ置き場として1度認識されればゴミはどんどん増えていくでしょう。
そして不法投棄されたゴミの処分は空き家を解体する持ち主が行うことになり、その際はゴミの処分費用も発生してしまいます。
遠方の建物が空き家のままにしていると、知らないうちにゴミ屋敷になってしまう可能性があります。また、害虫の発生や治安悪化などのリスクを抱えることになります。
これによって近隣住民からクレームが発生し、大きなトラブルに発展することもあるようです。
放置していた空き家に放火をされる等の事例もあります。
万が一所有している建物で火災が発生して隣家に被害が及んだ場合、空き家の持ち主に損害賠償請求を起こされる可能性もあります。
木造建築の家屋は、空き家になって換気をしなくなったりお手入れをしていなかったりすると、すぐに建物自体の老朽化が進行します。
建物の老朽化が進んだ場合は倒壊の危険や損壊事故が発生する可能性もあり、近隣住民が事故に巻き込まれてしまえば大きなトラブルに進展することもあります。
空き家は誰も住んでいない状態であっても、税金や保険料、修繕費や清掃料などの管理費用が毎年かかります。
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空き家には固定資産税と都市計画税の両方が発生します。
これらの税金は土地や建物の価値によって算出されるので、空き家を解体することによって土地の資産税だけになります。
しかし税金が上がってしまうからと建物を解体せずに放置した場合は「特定空き家」に指定され、固定資産税は高くなってしまうのです。
さらに資産価値も下がってしまい売却時に不利になるので、空き家の解体作業は先送りにせず早めに対処することをおすすめします。
また、どこまで解体すれば家屋としての固定資産税がかからないかは、最終的には自治体の判断になります。
一般的に固定資産税における「家屋」には次の3つの要件が存在します。
1.外気分断性:外気を分断できるものがあり人や物を保護できる |
2.定着性:物理的に土地に固着し永続的に使用される |
3.用途性:建物が一定の用途のため使用できる |
基本的にはこれらの3つの条件を満たす場合に「家屋」と認められるので、これに該当しないように解体作業を依頼しましょう。
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残念ながら解体業者には悪徳業者も潜んでいるので、遠方の場合は特に解体工事の業者選びが大切です。
会社の所在地や代表者については基本的な確認事項です。
その他、損害賠償保険加入の有無や契約書の事前契約、解体工事に関する許可証一式を確認できるかどうかも非常に重要なポイントです。
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解体物件が遠方の場合は移動に時間と費用がかかるので、現地調査への立ち会いが難しい場合もあるでしょう。
しかし現地調査にはなるべく立ち会った方が良いといわれています。
ここでは、現地調査に立ち会うメリットや現地立ち会いができない場合の対処法について紹介します。
現地調査への立ち会いには、いくつかメリットがあります。
このように、実際に現場調査に立ち会うことで業者とコミュニケーションが取れ、認識違いによるトラブルを防ぐことにもつながります。
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どうしても現地に行けない場合は、親戚や知り合いに代わりに立ち会いをお願いしてみましょう。
もし誰にも頼めない場合は解体エージェントがサポートをしますので、現地調査に立ち会いできない場合はご相談ください。
続いて、見積もりを取る際の注意点について紹介します。見積もりは業者を選ぶ上で非常に大切な資料となりますので、しっかり確認してください。
見積もりだけだと無料で行ってくれる業者が多いので、少なくとも3社の業者から相見積もりをとるようにしてください。
複数の解体業者から見積もりをとって、費用や条件などを比較してから決めると良いでしょう。
「他の業者に見積りを頼むのは気が引ける」という方もいるかもしれませんが、相見積りは解体業者にとっては当たり前のことなので、気にせず問い合わせましょう。
見積りで出してもらった金額とは別に追加費用がかかる場合もあるので、その場合はどのような請求になるのかを解体業者にきちんと確認しておきましょう。
また、追加費用が発生した時に納得のいく形で追加工事が行えるようにするためにも、見積も書は項目ごとに細かく金額を出してもらうのがおすすめです。
遠方に住んでいるなど立ち会いが難しい場合が多々ありますが、現場確認は必ず行った方が良いでしょう。
立ち会えない場合は、解体エージェントにお任せいただくと安心です。面倒な近隣挨拶にもきちんと対応しています。
現場確認の方法として、解体業者に写真を送ってもらう方法があります。
ただし写真だけだとわからないような細かい部分もあるので、すべてを把握するのは難しいでしょう。もし撮ってもらう場合は、複数枚の写真提出を求めるようにしてください。
工事の様子を観察するためには、Webカメラの設置もひとつの方法です。
ただし解体業者や近隣住民に監視しているということで、不快に思われる可能性もあるので注意が必要です。
そのため、Webカメラを設置する場合は設置する理由を添えて事前に知らせておくようにしましょう。
親族の立ち会いが最も安心できる方法ではありますが、親族といえど何度もお願いをするのは申し訳ない気持ちになる人も多いでしょう。
やむを得ず親族に依頼をする際は、必ず解体工事を行う範囲を事前に伝えておく必要があります。
特に現場立ち会いの目的は解体範囲の指示なので、解体範囲の認識がない方の立ち会いは避けましょう。
もし内容をわかっていない方が立ち会った場合は解体業者に内容を伝えることができず、結局二度手間になることもあります。
遠方の解体工事の費用相場は以下の通りです。
木造家屋 | 1坪32,000円~ |
軽量鉄骨造家屋 | 1坪35,000円~ |
鉄骨造家屋 | 1坪38,000円~ |
RC造家屋 | 1坪40,000円~ |
基礎解体 | 1㎡2,000円~ |
アスファルト撤去 | 1㎡2,500円~ |
残置物撤去 | 1㎥15,000円~ |
ただしいずれも立地条件や地域、構造上の難易度によって金額は変動します。
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税金や維持費などもかかってくるので、なるべく空き家の解体費用は安くしたいという方も多いでしょう。
またその方法を知らないと損をする可能性もあるので、知っておいた方がお得です。ここでは、遠方の解体費用を節約する方法について紹介します。
解体工事前の空き家にはさまざまな不用品がありますが、これらの不用品をなるべく自分で処分することで、解体費用を節約することができます。
解体工事で発生したゴミなどは、不用品も含め産業廃棄物扱いになります。そのため、業者側が処分をする際は処分費用がかかります。
したがって、自分で処分できるものは各自治体の定めに従ってゴミ収集やリサイクルに出すと、解体費用を少なくすることができます。
解体工事に際し、多くの自治体で解体工事に対しての補助金を支給しています。建物の住所を管轄する自治体に確認してみると良いでしょう。
地域によって金額や条件に違いはありますが、補助金を利用することができれば大いに節約できます。
近年では空き家問題なども多く、さまざまな自治体で補助金支給などの空き家政策を行っています。
助成金制度とは、自治体の予算内で支給される補助金とは異なり、要件を満たしていればほとんどの場合に助成を受けることができる制度です。
しかし助成金も各自治体によって支給額や申請要件は違ってきますので、建物の住所を管轄する自治体に確認をしてみると良いでしょう。
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解体工事費用の支払い方法は、主に現金払いか銀行振り込みです
緊急性を要する解体工事の場合、解体費用がすぐに用意できず支払えない場合もあるでしょう。そういった時に便利なのが、空き家解体ローンとフリーローンです。
空き家解体ローンは利用条件のハードルが低く設定されていることが多いので、担保や保証人は不必要で金利もお得な場合が多い商品です。
一方でフリーローンとは用途を問わずに借り入れができる、金利も低い個人向けローンのことを指します。
解体工事が終了したら「建物滅失登記」を忘れずに行いましょう。
建物滅失登記とは、建物を解体して取り壊したあとに法務局に提出しなければいけない登記のことです。
これを提出することで、建物がなくなったことが法務局の登記簿に記録されます。
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解体工事を先送りしてはいけない理由を紹介しました。
まず第一に、空き家にし続けると特定空き家に指定され固定資産税が増額請求されるほか、老朽化が進行し売却が年々難しくなります。
不法投棄場所になってしまうリスクや治安悪化なども懸念されるため、空き家は放置せずなるべく早く解体工事を計画するようにしてください。
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