建材に含まれるアスベストの有無を築年数・築何年から調べる方法はありますか?

  よくある質問
建材に含まれるアスベストの有無を築年数・築何年から調べる方法は?

建物の解体を検討しているのですが、建材にアスベストが含まれていた場合は解体費用が高額になると聞いたため、アスベスト含有の有無を自分で調べる方法が知りたいです。

アスベスト含有の有無は建物の築年数などから調べることはできるのでしょうか?また、アスベストは建物のどのような場所に使われているのでしょうか?

全ての建物に使われていた訳ではないので、アスベストの有無を築年数から断定することはできません。可能性がある場合は見積もりの際に業者に確認をしてもらうと良いでしょう。

アスベストの有無を築年数から断定できないため、業者に確認依頼を。

2006年以前の建物ならアスベスト含有の可能性もあり

2006年以前に建築された建物には、アスベストが使われている可能性があります。‌

2006年の法改正によりアスベストは全面的に使用禁止になりましたが、それ以前に建築された建物にはアスベストが含まれている可能性があります。

しかしアスベストが使われているかを正確に判断するには築年数から判断をするよりも、アスベスト調査を行い、アスベストの含有量やレベルなどを調べる必要があります。

アスベスト規制の歴史

アスベストは断熱性や耐火性、耐久性などに優れた高性能な建材として、2006年まで住宅のさまざまな箇所に使用されていました。ここでは、アスベスト規制の歴史を紹介します。

1975年(昭和50年)「特定化学物質等障害予防規則」の改正

1975年の特定化学物質等障害予防規則の改正によって日本で最初にアスベストに関しての規制がされ、アスベストの含有率が5%を超える吹き付け作業が原則として禁止されました。

1986年(昭和61年)「ILO石綿条約」の採択

1986年のILO(国際労働機関)の石綿条約の採択によって、アスベストの一種であるクロシドライト(青石綿)の使用と吹き付け作業が禁止されました。

1995年(平成7年)「労働安全衛生法施行令」「特定化学物質等障害予防規則」の改正

1995年の労働安全衛生法施行令と特定化学物質等障害予防規則の改正によりクロシドライトやアモサイトに関する製造、輸入、譲渡、提供、使用などが全面禁止とされました。

また、アスベストの含有率が1%を超える吹き付け作業が原則として禁止となりました。

さらに労働安全衛生規則により、耐火建築物等における吹き付けアスベストの除去作業には事前の届け出が義務付けられました。

2004年(平成16年)「労働安全衛生法施行令」の改正

2004年の労働安全衛生法施行令改正によりアスベスト含有率が1%を超える建材や摩擦材、接着剤など10品目に関する製造、輸入、譲渡、提供、使用などが禁止されました。

2006年(平成18年)「労働安全衛生法施行令」の改正

2006年の労働安全衛生法施行令の改正によって、アスベストの含有率が0.1%を超える製品関する製造、輸入、譲渡、提供、使用などが禁止されました。

2020年(令和2年)「アスベスト大気汚染防止法」の改正

2020年のアスベスト大気汚染防止法の改正によって、アスベストが含まれるすべての建材への規制が拡大されました。

また、都道府県等への事前調査結果の報告が義務付けられ、罰則の強化や規制の対象が拡大されました。

アスベストを使用している可能性のある箇所とは

アスベストを使用している可能性のある箇所とは

アスベストが含まれた建材を使用している可能性のある場所は、建物の仕様や築年数によって異なります。

高性能であるといわれたアスベストの用途は3000種類もいわれ、さまざまな箇所に使用されていました。

ここでは、アスベストが含まれた建材を使用している可能性がある箇所を紹介します。

屋根

住宅の屋根に使われていた住宅屋根用化粧スレートには、アスベストが含まれている可能性があります。

また、住宅だけではなく工場などで使用されているスレート波板にも、高い確率でアスベストが含まれている可能性があります。

外壁

住宅の外壁に使われていた窯業系サイディング押出成形セメント板には、アスベストが含まれている可能性があります。

また、建物の外装や内装、外壁に使われていた繊維強化セメント板には平板と波板があり、これらもアスベストが含まれている可能性があります。

内装材

建物の内装に使われていたケイ酸カルシウム板やパルプセメント板にも、アスベストが含まれている可能性があります。

ケイ酸カルシウム板やパルプセメント板は軽量で加工性も高いため、以前は天井や壁、軒天などに使用されていました。

断熱材

工場や倉庫、車庫などの屋根裏に使用されている断熱材にも、アスベストが含まれている可能性があります。

フェルト状の屋根用折板裏断熱材には、アスベスト含有率の高い製品もありました。

また、配管やダクトに巻かれた断熱材にもアスベストが含まれている可能性があります。

内壁の吹き付け材

内壁の吹き付け材はアスベストが含まれている可能性が高いと言われていますが、以前は鉄骨造の建物などで天井裏や壁に吹き付けられていました。

アスベストが含まれている吹き付け材の規制が始まった後でも、1990年頃までは吹き付けロックウールとして使用されていたようです。

アスベストは耐火、断熱、吸音等の目的で使用されていた

アスベストは耐火、断熱、吸音等の目的で使用されていた

アスベストは耐火性や断熱性・防音性に優れ安価であるため、さまざまな商品に使用されてきました。

ここでは、アスベストが含まれている代表的な建築材を紹介します。

吹付け石綿

吹き付け石綿とは、石綿とセメントを一定割合で混合したものです。

クリソタイル(白石綿)、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)以外に、トレモライト石綿などの種類があります。

吹き付け石綿の使用期間は1956年ごろから1975年頃までですが、1987年頃までは使用されていた可能性があります。

吹付けロックウール

1975年に吹き付けアスベストが禁止されて以降主流となったのが、吹付けロックウールです。

1990年頃までは、アスベストの含有率が5%未満の石綿などを混ぜて吹付けロックウールとして使用されていたようです。

その後の吹付けロックウールには、アスベストを含まない材料が使用されています。

石綿含有保温材

石綿含有保湿材にはアモサイトを使用したものの他、珪藻土保温材、パーライト保温材、石綿けい酸カルシウム保温材、バーミキュライト保温材や水練り保温材などもあります。

これらは化学プラントやボイラーの本体、住宅の配管の保温などに使用されていました。

その他の石綿含有建築材料

石綿含有建築材料の種類

その他の石綿含有建築材料には、石綿含有耐火被覆板や石綿含有断熱材・石綿含有整形板などさまざまな種類があります。

スレート波板・けい酸カルシウム板(第一種、第二種)・スラグ石膏板・パルプセメント板・押出成形セメント板などの名称で使用されていました。

また、窯業系サイディング・住宅用屋根化粧スレート・ロックウール吸音天井板などのアスベストが含まれない名称で呼ばれていたこともあるようです。

これらは内装材(天井、壁、床材)や外装材、屋根材や煙突材などに使用されていました。

製品の名称にはアスベストが含まれていませんが、一般に製造年代が古いほどアスベストの含有率は高くなる傾向にあります。

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この記事のライター

解体エージェント 編集部

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