近年では空き家問題が社会化していますが、特に空き家になった実家を相続後、どうしていいかわからず持て余しているという人が増加しています。
空き家は所有しているだけで固定資産税がかかりますし、放置すれば劣化による倒壊や治安悪化のリスクがあります。
そこでこの記事では、相続した空き家の対処法や解体する際の注意点を紹介します。
目次
近年では相続した空き家の対処法が分からず、時間が経過してしまったというケースも多いようです。
しかし時間の経過とともにさまざまな問題が発生するため、早めに対処することをおすすめします。
ここでは、相続した空き家の対処法を3つ紹介します。
相続した空き家が自宅近くもしくは定期的に通える範囲にあれば、管理しながら保有しても良いでしょう。
その場合は固定資産税以外にもガスや水道、電気の固定費が発生しますが、維持管理はしやすくなります。
遠方に住んでいるなどの理由から自分で空き家の管理が難しい場合は、空き家専門の管理会社や不動産会社の空き家管理サービスに依頼をするのがおすすめです。
管理のプロが定期的に巡回して掃除や換気を行ってくれますので、安心して任せられます。
空き家はそのままにしていれば維持管理費がかかり続けるだけですが、賃貸物件にすれば収益化が見込めます。
しかし賃貸物件にするには、屋内クリーニングやリフォームなどの初期投資費用がかかります。
空き家を売却すれば現金化することができ、固定資産税や維持管理費もかからなくなります。
人が住まなくなった家は劣化のスピードが早く、価値は下がっていく一方です。特に活用方法がなければ、早い段階で売却するのも良いでしょう。
上記3つ以外の空き家の有効活用については、以下の記事を参考にしてください。
空き家の所有者や相続人には管理義務があります。もし管理を怠り近隣住民や通行人に被害を及ぼした場合、損害賠償請求を受ける可能性があります。
他にも空き家を放置することで発生するリスクは、以下になります。
このように、空き家をそのまま放置した場合はさまざまな問題が発生します。このような事態を防ぐためにも、管理者の早急な空き家対策が求められます。
空き家の解体工事を先送りしてはいけない理由については、以下の記事を参考にしてください。
「空き家対策特別措置法」とは、平成27年に施行された法律です。正式には「空き家等対策に関する特別措置法」といいます。
倒壊しそうな空き家や適切な管理が行われていない空き家は地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていると考えられ、「特定空き家」に指定されます。
指定されると、行政側が所有者や相続者に改善を求める助言や指導、勧告、命令、行政代執行の措置を行うことが可能となります。
特定空き家と指定されてしまうと固定資産税の優遇措置がなくなり、行政から改善指導がなされます。改善指導後も所有者が対応しなければ、懲罰的措置がとられます。
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相続放棄すると空き家の所有権がなくなり、固定資産税の支払い義務は免除されますが、管理義務は残ります。
しかし管理義務があるのにも関わらず、相続人全員が相続を放棄し空き家が放置されてしまうと、近隣住民に迷惑がかかります。
そうならないために民法では「相続人全員が放棄した場合は、放棄した相続人にも管理義務がある」と定められています。
しかし自分以外の相続人がいる場合は管理義務は発生しません。
原則として、身内であっても相続人以外の人が勝手に空き家を解体することはできません。
しかし相続人が認知症などで判断能力が不十分な場合は、成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立てを行うことができます。
その場合は、裁判所から成年後見人として選任された人が空き家の処分手続きを進めることができます。
例えば所有者である夫が亡くなり認知症の妻が相続した場合、家庭裁判所に成年後見人として息子の選任を申し立てを行います。
裁判所から選任されれば息子が代わりに対処できるようになるということです。
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空き家を解体すれば維持管理費の支払いや定期的に通う手間がなくなり、近隣住民へ迷惑をかける心配もなくなります。
ここでは、空き家を解体するメリットを紹介します。
古い家が建ったままの状態だとなかなか買い手がつきません。しかし更地の状態だと土地利用をしやすくなるため、買い手がつきやすいといわれています。
不動産会社も更地のほうを優先して扱うため、古家付き土地より高く早く売却できる可能性が高くなります。
空き家に相続に対しては「相続空き家の3,000万円特別控除」という特例があり、平成28年度の税制改正によって新設されました。
正式名称を「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。
適用されると相続した空き家の売却で出た売却益(譲渡所得)から最大3,000万円が控除されます。
適用には平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間という期限が決められていて、相続のあったときから3年後の年末までの売却という条件があります。
また、控除の適用で納税が0円の場合でも必ず確定申告が必要になります。
空き家を解体することはメリットだけでなく、デメリットもあります。
例えば木造住宅でも1坪約30,000円の解体費用がかかりますが、軽減措置を受けることができず、税金が高くなります。
そのため、しっかり計画を立ててから空き家を解体するか検討しましょう。
空き家でも、建物が建っている場合の固定資産税は最大1/6、都市計画税最大1/3まで軽減されます。
しかし、空き家を解体して建物がなくなれば軽減措置を受けられなくなるので、納税額が最大6倍になってしまいます。
解体工事費用の相場は家の構造で変動します。
木造 | 31,000円~44,000円/坪 |
鉄骨造 | 34,000円~47,000円/坪 |
鉄筋コンクリート | 35,000円~80,000円/坪 |
取り壊しやすい木造住宅は安く、壊しにくい鉄骨造や鉄筋コンクリートなどは高い傾向があります。
空き家は解体するだけでも費用がかかり、その金額も安くはありません。そのため、資金が足りず解体したくてもできないという声をよく耳にします。
ここでは、空き家解体のための費用がない場合の対処法を紹介します。
空き家の解体工事向けに補助金を支給している自治体も多いようです。以下は自治体の補助金を支給している例になります。
神奈川県厚木市「老朽空き家解体工事補助金」 | 条件:昭和61年5月31日以前に旧耐震基準法で建築された家屋・老朽化が進み1年以上空き家になっている家 補助金額:最大50万円までとし、解体工事費用の1/2 |
東京都杉並区「老朽危険空家除却費用の助成制度」 | 条件:不燃化特区以外の区内全域で、特定空き家に認定された家屋 補助金額:最大150万円までとし、助成率80% |
東京都墨田区「老朽危険家屋の除却費等助成制度」 | 条件:管理不全で危険な状態になっている空き家を除却する工事費用を墨田区が出す代わりに、原則10年間跡地を区に無償貸与する 補助金額:最大200万円までとする |
この他にも全国さまざまな自治体で、空き家対策の一環として各種補助金や助成金を支給しています。詳しくは各自治体にお問い合わせください。
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銀行では空き家解体ローンやフリーローンという商品を取り扱っていて、これらのローンを解体費用に充てることができます。
JA西東京「JA空き家解体ローン」 | 金額:10万円~500万円以内 期間:1年以上10年以内 |
川口信用金庫「空き家住宅ローン」 | 金額:500万円以内 期間:3ヶ月以上15年以内 |
京葉銀行「住宅リノベイトローン」 | 金額:10万円以上2,000万円以内 期間:20年以内 |
このように、銀行により融資金額や期間は変わるものの、解体工事を行う際の工事費用として使用できるまとまったお金をローンで借り入れることが可能です。
解体工事にはまとまった費用がかかります。助成金や補助金、ローンなどを利用したとしても、全体の解体費用を抑えたいという方も多いと思います。
ここでは、解体費用を少しでも抑える方法を紹介します。
解体工事前に不用品や不要な家具を自分で処分することにより、解体費用を抑えることが可能です。
解体業者に依頼をした場合、解体工事で発生したゴミなどは廃棄物処理法に基づいて適切に処分する義務が発生するため、その分費用は割高になります。
そのため、解体費用を抑えたい場合は事前に処分をしておくと良いでしょう。
壊れていない家具や家電などはリサイクルショップなどで無料で引き取ってもらえる可能性もあります。
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解体業者を選ぶ際には、正当な理由で値引きを行っている業者を選びましょう。
値引きができる正当な理由は以下になります。
まず第一に自社施工であることが挙げられます。自社施工の場合は下請けなどに解体工事を依頼する必要がないため、その分中間マージンが発生することがありません。
また、重機を自社で保有している業者も工事費用を値引きすることができます。
重機を保有していない場合はリース会社から借りる必要があり、その場合のリース費は施主が支払う工事費用に上乗せされるからです。
産業廃棄物の自社処理場を持っている解体業者も、他社にゴミの処分を依頼しなくてもよくなるため、その分工事費用を値引きすることができます。
解体工事終了後には、建物滅失登記の手続きを行う必要があります。
司法書士や解体業者に依頼すると約30,000円~50,000円の費用がかかりますが、自分で手続きをした場合は記事項証明書の1,000円のみで申請が完了します。
建物滅失登記の手続きは難しくはありませんので、費用を抑えるためにもご自身で申請すると良いでしょう。
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解体業者といってもたくさんあるので、迷ってしまうと思います。中には悪徳業者も紛れているので、慎重に見極めなければなりません。
所在地が明確にされているかというのはもちろんですが、契約書の発行や見積書の書き方が詳細でわかりやすいかもチェックしましょう。
その際、一社だけでなく複数の業者から相見積りを取って比べると、提示金額や見積り内容が適切か判断しやすくなります。
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空き家を相続した場合の対処法や放置するリスク、解体について解説してきました。
相続した空き家を放置するとさまざまなリスクが発生します。賃貸物件などで有効活用できればいいのですが、それが不可能な場合は解体するのがおすすめです。
しかし、相続した空き家が遠方にあるため解体が難しいという人もいるかと思います。
そんな時は解体エージェントへご相談ください。解体に詳しいアドバイザーが業者との交渉を代行し見積りの内容をきちんと説明いたしますので、安心してご利用いただけます。
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