法改正で解体工事のアスベスト調査が義務化!業者選びが重要に

  解体する建物、廃棄物について解体工事の進め方
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解体を検討している建物の種類はなんでしょうか?

法改正によって解体工事を行う前にアスベスト調査を行うことが義務化されたことをご存知ですか?

解体工事に伴うアスベスト(石綿)飛散防止対策の一層の強化を図るため、「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が令和2年(2020年)6月5日に公布され、一部の規定を除き令和3年(2021年)4月から施行されています。

この改正によって解体工事の前にアスベスト調査を行うことが義務化されました。

また解体工事の着手前には都道府県、政令市などへのアスベスト調査結果の報告が義務付けられるようになり、作業基準遵守徹底のための対策が強化されました。

改正法は令和3年(2021年)4月1日から順次施行されていて、令和5年(2023年)からは建築物の事前調査を行う者の資格要件が定められており、有資格者による調査が義務化されます。

もちろんアスベスト調査を行わなければ、解体工事の補助金を申請することもできません。

これらのことは解体業者もまだ十分に把握していない可能性があるので、注意が必要です。

本記事では、東証一部上場企業グループにて住宅部門及びリフォーム事業の責任者として約33年間従事し、業界の裏事情まで把握する筆者が、この改正によって解体工事におけるアスベスト対策は具体的にどう変わるのか、そしてアスベスト調査や除去工事の流れ、補助金制度などについて詳しくご紹介します。

解体工事のアスベスト調査が義務化

今回の法改正に伴い、解体工事やリフォーム工事を行う前には工事規模の大小に関わらず、設計図書や目視によるアスベスト調査が義務化されました。

すなわち解体工事、リフォーム工事を行う業者は、解体工事着工前に「目視」により建材が設計図書などと整合していることをチェックし、使用されている建材を特定してメーカーに成分情報等を確認することでアスベスト使用の有無をチェックしなければなりません。

設計図書がない場合には目視確認のみで良いことになっていますが、壁の内部などの目視確認が困難な箇所であっても目視が可能となった際には調査を行わなければなりません。

そして調査結果を解体工事現場に掲示すると共に、3年間の記録保存が義務付けられます。

一方で平成18年(2006年)9月以降に着工された住宅や製造された建材に関しては、すでにアスベストの使用が禁止されていたため、当該着工日や製造日等の確認を行うことで事前調査とすることができます。

アスベストとは?

アスベストとは「石綿(せきめん、いしわた)」と呼ばれる天然の鉱石のことをいい、熱に強く安価なため、アスベストを使った建材製品が1955年頃から2005年まで建物の火災防止を目的として様々な箇所に使用されるようになりました。

代表的なものとして鉄骨造建築物などの耐火被覆材や、住宅用屋根化粧スレート(カラーベスト)、窯業系サイディング、アスベスト含有断熱材、ロックウール吸音天井板などがあります。

ところがアスベストを吸い込むと10年から数十年後には肺がん悪性中皮腫などの原因となるリスクが高いことがわかって徐々に使用が禁止されるようになり、平成18年(2006年)9月には0.1重量%を超えるアスベスト含有製品の製造、使用が禁止されるようになりました。

つまり2006年以前の建物では、一部でアスベスト含有建材が使用されている可能性があると言えます。

解体工事のアスベスト調査の流れ

解体工事前のアスベスト調査のおおまかな流れは、設計図書等による書面調査→現地目視調査(アスベスト含有懸念建材の使用範囲の確認と必要に応じてサンプリング箇所の選定)→サンプリング(サンプルの採取)→アスベスト定性分析→報告書の作成となります。

それではアスベスト調査の流れを詳しくみていきましょう。

1:アスベスト調査の専門家に調査依頼

アスベストの事前調査は、アスベストに関する一定の知見を有し、的確な判断が出来る者(建築物アスベスト含有建材調査者、一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者、アスベスト作業主任者のうちアスベスト等の除去等の作業の経験を有する者など)が行うこととなっています。

また令和5年(2023年)10月1日からは、建築物のアスベスト調査は厚生労働大臣が定める講習を修了した者等に行わせることが義務付けられます。

義務付け適用開始前であっても、可能な限り必要な知識を有する者に調査を依頼しておくと安心です。

したがって法改正に対応している業者選びが重要で、悩んだら地方自治体もしくは専門家(調査会社、建築設計事務所、工務店など)に相談してみると良いでしょう。解体エージェントでご紹介することも可能です

2:解体工事前にアスベスト調査実施

アスベスト調査の内容は、設計図書等による書面調査目視による現地調査は必須事項で、必要に応じて現場で採取したサンプルをもとに分析調査を行います。設計図書などの書面のみで「アスベスト使用なし」と判断せずに、必ず現地で各部屋・部位の確認を行うことが重要です。

また解体工事の施主(発注者)は、自分自身だけでなく工事関係者や周辺住民に対しても健康被害を及ぼす可能性があることを意識して、アスベスト調査に協力し、設計図書等の提供調査費用を負担する義務があります。

アスベスト調査不徹底により、法に定められた届け出対象工事が未届けの場合は、届出義務者である施主(発注者)が法の罰則対象となるため、注意が必要です。

3:アスベスト調査結果の報告

解体業者は前述したように、令和4年(2022年)4月1日以降は、解体部分の床面積が80㎡以上の解体工事、請負金額が100万円以上の改修工事等を行う際にはアスベスト含有建材の有無にかかわらず、元請業者等がアスベスト調査結果を都道府県等へ報告することが義務付けられます。

また施主への説明を行うと共に、アスベスト調査の結果は記録を作成して3年間保存することが義務付けられています。(令和3年4月~)

4:解体工事期間中にアスベスト調査結果を掲示

また令和3年(2021年)4月以降には、解体工事を行う前に工事に関わる全ての材料について実施したアスベスト含有の有無についての調査結果を工事現場の見やすい箇所に掲示する必要があります。

調査結果が「アスベストなし」の場合であっても掲示は必須です。

なお、これらは工事の施主(発注者)ではなく元請業者が行うこととされています。

解体工事におけるアスベスト除去工事の流れ

この章では解体工事におけるアスベスト除去工事の届け出と流れについてについてご紹介します。

1:アスベスト除去工事に関連する届け出

アスベスト除去工事に関連する法律と届け出には以下の様なものがあります。

特定粉じん排出等作業実施届(大気汚染防止法)

吹付けアスベスト、アスベスト含有耐火被覆材、アスベスト含有保温材等特定建築材料の除去工事を行う際には、工事の施主(発注者)が工事開始の14日前までに都道府県知事に届け出る必要があります。

工事計画届(労働安全衛生法)

耐火・準耐火建築物の吹付けアスベストの除去作業を行う際には、工事開始の14日前までに施工業者が労働基準監督署長あてに届け出を行います。

建築物解体等作業届(アスベスト障害予防規則)

建築物のアスベスト含有保温材、アスベスト含有耐火被覆材、アスベスト含有断熱材の除去・封じ込め・囲い込みを行う場合には、施工業者が工事開始前までに労働基準監督署長あてに届け出ることが必要です。

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2:アスベスト除去工事の流れ

アスベスト除去工事の大まかな流れは以下の通りです。

なお、一般的な流れになるので、建物の状況や周辺状況によって多少異なる場合があります。

近隣へのご挨拶
引き込み配管、引き込み配線の撤去
足場の組み立て、飛散防止用シート掛け
建物内部の残置物、畳、襖、障子、住宅設備機器等の撤去
アスベスト除去
室内の天井材、壁材及び屋根材、外壁材などのアスベスト含有建材の撤去。アスベスト除去工事は、水や飛散防止剤をまき、作業部周辺の湿潤化を行った上で丁寧に作業します。また、水硬性セメントを用いて固化する方法もあります。
除去したアスベスト含有建材は丈夫な袋や容器に密閉して保管し、内容物がアスベスト廃棄物であることを明示します。除去したアスベストの運搬、処分は許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託して適切に処分することが大切です。
建物内部(その他の内装材、サッシ等)の解体
建物本体の解体(小屋組、柱・梁等の構造躯体、基礎等)
廃材の分別、収集、搬出
地中障害物の有無の確認、整地

アスベスト除去工事の流れ、近隣挨拶のマナーについては、こちらに詳しくまとめていますので参考にしてみてください。

アスベスト飛散防止対策に関連するその他の法律

アスベスト飛散防止対策については、今回ご紹介した大気汚染防止法以外にも様々な法律による制限や規制があります。

建築基準法平成18年(2006年)10月1日以降に着工する建築物については、建築基準法によりアスベストの飛散の恐れがある建築材料の使用が禁止されました。
また増改築時には原則として既存部分のアスベスト等規制材料の除去が義務付けられ、劣化が進んでそのまま放置すればアスベストの飛散の恐れがある場合には、除去等の勧告・命令ができることが定められています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律「廃アスベスト等」または「アスベスト含有産業廃棄物」については適正かつ確実な処理基準等が定められています。
建設リサイクル法解体工事等に際し、事前措置を適正に行うとともに、分別解体等の実施にあたってはアスベスト関係法令に従い各種届出を行って、他の建築廃棄物の再資源化を妨げないように適正に施工・処理することが求められています。
労働安全衛生法労働者の健康被害防止の観点から、建築物の解体時におけるアスベストの除去作業の届出や、事前調査、作業計画、特別教育、作業主任者の選任、保護具着用、作業場所の隔離、立入禁止などの規定が定められています。

解体工事のアスベスト調査のための補助金制度

民間建築物のアスベスト調査や除去、封じ込め、囲い込みといった作業については補助金制度がある自治体があります。自治体によっては補助金制度がないこともあるので、事前によく確認しておくことが大切です。

補助金を申請するための要件

補助対象となるアスベスト(石綿)は、吹き付けアスベストまたはアスベスト含有吹き付けロックウールとなっていることがほとんどです。

また対象者となるのは補助対象建築物の所有者で、要件はアスベスト調査や除去に関して他の補助金を受けていないこと、固定資産税などの税金の滞納をしていないことなどとなっています。

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アスベスト調査のための補助金制度実例

アスベスト調査のための補助金制度は全国にありますが、ここでは東京都での実例をいくつかご紹介します。

港区アスベスト対策費助成吹付け材等のアスベスト含有検査に要する費用の1/2相当額(上限10万円)
新宿区吹付けアスベスト含有調査費助成金含有調査費の10/10 ただし上限25万円/棟
民間建築物アスベスト対策費助成(台東区)調査に要した費用の1/2、かつ簡易調査10,000円、簡易調査以外の調査100,000円以内
江東区アスベスト分析調査助成調査費用の1/2以内 限度額5万円
アスベスト分析調査助成(品川区)含有分析調査費の10/10相当 上限5万円/棟

またアスベスト除去工事にも補助金制度がある自治体もあるので、事前によく確認しておきましょう。

解体工事の補助金・助成金についてはこちらにまとめていますので参考にしてみてください。

解体工事のアスベスト調査・除去の今後に注意

今回の法改正により、令和4年(2022年)4月以降には解体工事部分の床面積が80㎡以上の工事、または請負金額が100万円以上の改修工事については、事前調査結果の労働基準監督署への電子届け出が必要になります。

また令和5年(2023年)10月以降には事前調査は厚生労働大臣が定める講習を修了した者等が行うことが義務付けられるなど今後も改正が進む予定なので、注意が必要です。

まとめ

大気汚染防止法の一部を改正する法律が2020年6月5日に公布され、一部の規定を除いて2021年4月から施行されています。

この改正によって解体工事を行う前にアスベスト調査を行うことが義務化されました。

これによって罰則が強化されると共に、都道府県等による立入検査の対象が拡大されて、有資格者による解体工事前のアスベスト調査も義務付けられます。(令和5年10月から施行)

それぞれの規定によって開始時期が異なり、非常にわかりにくいものになっていいます。

そこで改めて主な改正点をまとめてみました。

工事対象となる全ての部位について、アスベストが含まれているかどうかを事前に調査し、調査結果の記録を3年間保存することが義務化されます。(令和3年4月~)
除去工事終了後に作業場の隔離を解く前には、資格者によるアスベスト等の取り残しがないことの確認が義務付けられます。(令和3年4月~)
一定規模以上の建築物や特定の工作物の解体・改修工事は、アスベスト調査の結果を労働基準監督署へ電子システムで届け出ることが義務になります。(令和4年4月~)
建築物のアスベスト事前調査は、厚生労働大臣が定める講習を修了した者等に行わせることが義務になります。(令和5年10月~)

解体工事前のアスベスト事前調査において、解体工事の施主(発注者)にも業者の事前調査が適切に行えるように情報を提供する義務が発生します。またアスベスト除去が必要になった場合には、工事費用や工期、作業方法など法令を遵守して工事が出来るように配慮しなければなりません。

そして何よりも法改正に対応できる業者選びをすることが今後ますます重要になっていくでしょう。

アスベスト調査や業者選びにお悩みの方は解体エージェントにお気軽にご相談ください。

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この記事のライター

亀田 融

東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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