解体工事を依頼する際、全国規模で営業展開している大手の業者が良いのか、地元に根ざした小規模な解体業者が良いのかで悩まれている方も多いと思います。
解体工事はできるだけ地元の解体業者に頼んだ方が良いという意見も多いですが、それはどういった理由からなのでしょうか。
解体工事にはさまざまな危険や近隣への迷惑が伴うため、信頼できる業者に依頼したいところですよね。
そこで本記事では、地元の解体業者に工事を依頼する場合のメリットや注意点について紹介します。
目次
解体工事の依頼先にはハウスメーカー、工務店、不動産業者、解体業者などがありますが、解体工事の目的により依頼先が異なることが多いようです。
家を建て替えるためであればハウスメーカーや工務店などの住宅会社に、解体後に土地を売却するためであれば不動産会社に依頼した方が解体後の流れがスムーズです。
しかしそのほかに解体工事の専門業者に直接依頼する方法があります。
近年ではインターネット上に解体業者の情報が掲載されているので、パソコンを使用すれば誰でも簡単に解体業者を探すことができます。
しかし解体業者の中には悪質な業者も存在しているので、自分で解体業者を探すときには注意すべき点があります。
そこで次章からは、解体業者に依頼する場合のメリットや注意点などを紹介します。
解体業者の中にも全国展開しているような比較的規模の大きな会社から、地域に根差して活動している地元の企業までさまざまな会社があります。
全国展開している業者の場合にはその規模の大きさから安心感がある反面で、実際に施工するのは地元の下請け業者であることも多いため、決してメリットばかりではありません。
また、現場と離れた場所にある業者に依頼をした場合は、現場までの移動費がかさんでしまって費用が割高になることもあります。
そこで地元の解体業者に依頼する場合のメリットに絞って紹介します。
解体業者は解体工事に着手する前に必ず現地調査を行い、その結果で見積もり書の内容や工事費用などを決定します。
しかしどんなに綿密な事前調査を行って作業計画を立てたとしても、解体工事中には想定外の問題が発生して当初の計画通りに工事が進まなくなることがあります。
また、現場の近隣から何らかのクレームを受けて、工事を中断せざるをえなくなってしまうこともあるでしょう。
地元の業者であれば工事責任者がすぐに現場にかけつけ、必要な対応をしてもらうことが期待できますが、現場から離れた規模の大きな会社の場合には同じように対応してもらうのはそう簡単なことではありません。
そのため、何かあったときの対応の早さは地元の解体業者に依頼する大きなメリットのひとつといえます。
解体工事をハウスメーカーや工務店に依頼する場合には、ハウスメーカーや工務店が自らの手で解体工事を行うことはほとんどありません。
多くが下請けの解体業者に実際の作業を依頼することになるので、その際に工事費の2~3割程度の中間マージンが発生します。この中間マージンは、一般的には見積もり金額に上乗せされています。
また、全国規模の解体工事業者に発注する際にも、見積もり金額に中間マージンが上乗せされている可能性があります。
一方、地元の解体業者に工事を依頼する場合には自社施工になり、中間マージンが発生することはほとんどありません。
解体工事では現場が遠くなるほど移動時間やガソリン代、有料道路代などが発生するので、その分のコストは見積もり書の経費に上乗せされています。
したがって現場が近くなるほど移動費を節約できるため、価格を抑えることができます。
この点で地元の解体業者に依頼する方が有利になるのは間違いありません。
解体工事を地元の解体業者に依頼する際には、必ず事前に確認しておくべきことや注意点があります。
ハウスメーカーや工務店に解体工事を依頼する場合であれば、ハウスメーカー、工務店が解体業者の許認可の有無や財務状況、施工品質、工事保険加入の有無などを事前にチェックします。
しかし自分で解体工事を行う業者を探して発注する場合には、全てが自己責任になってしまいます。
したがってより慎重にチェックする必要があるので注意しましょう。
解体工事を請け負う場合には、必要な許可や登録があります。
まずは解体工事を依頼しようとしている業者にこれらの許可や登録があるかどうかを確認する必要があります。
500万円以上の工事を請け負う場合には建設業の許可が必要です。
建設業の許可を取得すれば、全国どこでも解体工事を行うことができます。
2016年6月の建設業法改正により「解体工事業許可」が独立したものとして追加されたため、従来の「とび・土工・コンクリート工事」の許可で解体工事を営業していた場合には「解体工事業許可」の業種の追加が必要です。
建設リサイクル法で定められた都道府県知事への解体工事業登録です。登録した業者は500万円未満(税込)の解体工事に限って請け負うことができます。
一般的な住宅の解体工事であれば500万円を超えることはほとんどないので、解体工事業登録を行っていれば十分といえます。ただし現場がある都道府県ごとに事前登録する必要があります。
解体工事業者は上記のいずれかの許可・登録が必要になるので、工事を発注する前には必ずチェックしましょう。
解体業者を選ぶ際には解体工事の許可や登録の有無だけでなく、アスベストを含む産業廃棄物の処理が自社でできるかどうかが非常に重要です。
処理ができない業者に依頼してしまうと別途で処理業者が必要になるため、余分な費用がかかってしまうことにもなりかねません。
産業廃棄物を収集・運搬するためには「産業廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。ただしこれは、他人が排出した産業廃棄物の運搬を業として行う場合に必要なものです。
解体業者が自社で取り壊しを行って排出する場合には、解体業者が排出業者とみなされるため、この許可は必要ではありません。
しかし業者の指標をはかるための水準のひとつになるものなので、確認しておくとよいでしょう。
また、産業廃棄物の処分を業として行うためには「産業廃棄物処分業」の許可が必要です。この許可があることで十分な処理施設を持っているという証明になり、自社での処分が可能になります。
工事を一本化できるメリットがあるので、より効率よく工事を進められて見積もり金額が割安になることが期待できます。
解体工事業者を自分で探す場合には、必ず数社から見積りをとるようにしましょう。数社の見積金額を見比べることで、だんだん適正な価格がわかるようになります。
また、見積もり書の内容のわかりやすさ、担当者の人柄やコミュニケーション能力、地域での評判、過去の施工実績などもよく考慮した上で業者を選定することが大切です。
数社の見積書を比較した際に、1社だけ極端に安い金額を提示する業者があった場合には注意が必要です。
安い金額につられて契約してしまうと、施工中にいろいろと理由をつけて高額な追加工事を請求されてしまうケースも決して少なくありません。
また、不法投棄を行って正規の産業廃棄物処理費用をかけずに安い値段で利益を出していたり、近隣対策に費用をかけずに近隣住民とのトラブルが絶えなかったりする業者もいます。
こうしたことにならないためにも、単に価格の安さだけで業者を決めないようにしましょう。
安すぎる業者の注意点については、以下の記事を参考にしてください。
解体工事では危険な作業を伴うため、作業中に隣家に損害を与えてしまったり、事故で作業員が怪我をしてしまったりすることも少なくありません。
事故が起きないように安全管理をしっかりと行って作業することが大切なのはいうまでもありませんが、それでも運悪く事故が発生してしまうことがあります。
万が一に備えて保険に加入しておくことで、賠償責任を果たすことができるだけでなく、近隣住民とのトラブルを収束させる上でも重要です。
解体業者が賠償責任を果たせなかった場合には、施主として責任を免れられなくなってしまうこともあります。
そのため、作業員に対する補償だけでなく、対人対物の第三者補償にも保険で対応できるかどうかを事前にきちんと確認しておきましょう。
工事終了後に解体業者がマニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行してくれるかどうかも事前に確認しておきたいことです。(東京都環境局:産業廃棄物管理票交付等状況報告書の概要)
マニフェストとは、解体業者が家屋の解体工事などによって産業廃棄物を発生させてその運搬や処理をほかの業者に委託する場合に、最終処理までの過程を記録した管理票のことをいいます。
解体業者にはマニフェストの発行と5年間の保管が義務付けられています。
解体工事終了後にマニフェストのコピーを渡してもらえるかどうかを事前に確認しておくと良いでしょう。
不法投棄をしない業者の見分け方については、以下の記事を参考にしてください。
最後に自分で地元の解体業者を探して解体工事をするメリットとデメリットは以下になります。
メリット | デメリット |
何かあったときにすぐに対応してもらうことが期待できる | 解体工事に不可欠な許可や登録の有無の確認が必要になる |
自社施工のため中間マージンが発生しない 現場が近いので移動費を節約することができる | 産業廃棄物の処理が自社でできるかどうかの確認が必要になる 保険加入の有無の確認が必要になる |
以上のように自分で解体業者を探して依頼する場合には、ハウスメーカーなどの住宅会社に依頼するのと比べてたくさんのメリットがありますが、自己責任となることが多くなります。
地元ではいまひとつ信頼できる業者が見つからない場合には、たとえ遠くても信頼できる業者に依頼することをおすすめします。
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