ブロック塀は建築基準法により塀の高さや壁の厚さなどの構造上の基準が定められていますが、古いブロック塀の場合はこれらの基準を満たしていない可能性があります。
地震などの自然災害によってブロック塀が倒壊し、人身事故が発生してニュースになった事例は少なくありません。
そのため、危険なブロック塀は放置をせず所有者は時々点検を行い、不具合が見つかった場合には早急に対処する必要があります。
本記事では、ブロック塀解体の流れや解体費用や解体時の注意点などを詳しく紹介します。
目次
ブロック塀は建築基準法により、塀の高さや壁の厚さ、控え壁の設置、基礎の根入れ深さなどの構造上の基準が定められています。
これらの条件を満たしている場合はとりあえず安全といえますが、古いブロック塀の場合には構造上の基準を満たしていないことが多いため、早急に解体やリフォームが必要になります。
そこでこの記事では、ブロック塀の点検方法や解体・リフォームする方法などについて紹介します。
ブロック塀を解体するかどうかを判断するために、まずは建築基準法で定められた倒壊の危険度をチェックする必要があります。
建築基準法で安全と判断されるブロック塀の主な条件は以下の通りです。
上記をすべて満たしていればとりあえず安全といえますが、ブロック塀は時間とともに経年劣化を起こします。
明らかに傾いていたり著しいひび割れが生じていたりする場合には倒壊する危険度が高く、なるべく早くリフォームや解体工事を行う必要があります。
なお、ブロック塀の耐用年数は30年といわれているので、30年以上経過している場合には注意が必要です。
古いブロック塀を解体した後は新たなブロック塀を設置しますが、今後の地震対策としてブロック塀の高さを低くして上部にフェンスを設置する方法もあります。
また、ネットフェンスにする方法や生垣にする方法、別の素材の塀にする方法などもあります。
より安全な方法をリフォーム会社や外構業者に提案してもらうと良いでしょう。
劣化が進んだブロック塀や建築基準法の安全基準を満たしていないブロック塀をそのまま放置しておくと、倒壊するリスクが高まります。
安全な街づくりに貢献する上でも、危険なブロック塀は解体してしまうのが一番です。
この章では、ブロック塀の解体の流れを紹介します。
ブロック塀の解体を行う業者の選定を行います。
業者の選定の際には1社だけではなく2〜3社の業者に見積もりの作成依頼を行い、それぞれの見積もり書を比較検討した上で業者を決定すると良いでしょう。
ブロック塀の解体自体は解体業者や外構工事業者のほかにも、ホームメーカーやリフォーム会社が取り扱っています。
しかしこのような業者は実際に工事を行わず下請け業者に工事を依頼するため、発注者が支払う工事費用は割高になります。
そのため、費用を安く済ませたい場合は外構工事の専門業者や解体業者に頼んだ方が良いでしょう。
また、業者を選定する際には価格の安さだけで業者を決定するのではなく、施工方法や工事期間、重機使用の有無、近隣対策などをよく比較した上で選定することがとても大切です。
ブロック塀解体の流れは、おおむね以下のようになります。
ブロック塀を解体する際は、大きな音や振動、粉じんが発生します。
また、搬出車両の駐車などで近隣住民に迷惑をかける可能性があるため、事前に近隣住民に挨拶をしておく必要があります。
解体工事の騒音問題や工事前の近隣挨拶については、以下の記事を参考にしてください。
解体する部分と解体しない部分にマーキングを行います。
マーキングした箇所にコンクリートカッターであらかじめ切れ目を入れておくことで、一部撤去をしやすくなります。
ブロック塀の解体工事では、ブレーカーと呼ばれるはつり道具や重機を使用することが多くなります。
一方、解体するブロック塀の範囲がそれほど広くない時や敷地が狭い時には、ハンマーで叩いて壊した方が費用を安く抑えられる場合もあります。
解体したコンクリートのガラをトラックに積み込み、場外へ搬出します。この際に発生したコンクリートガラは、施工業者側が産業廃棄物として処理します。
ブロック塀の一部を取り壊さずに残す場合には必要に応じて補修を行い、最後に清掃を行って作業終了となります。
ブロック塀の解体費用は、解体する範囲(面積)や施工条件、解体方法によって価格差が生じます。
そのため、実際に解体工事を行う際には複数業者に見積もりを依頼し、比較検討することが大切です。
ここでは、解体工事費用のおおまかな目安を紹介します。
ブロック塀の解体費用の相場は1㎡あたり5,000~10,000円程度といわれています。
解体費用はブロック塀の数量(解体するブロック塀の高さ×長さ)にこの単価を掛けて計算します。
しかし実際の現場では周辺環境や作業のしやすさなどを考慮して見積もり書が作成されるので、必ず複数の業者から見積もりをとって比較することが大切です。
また、解体費用には作業員の人件費や廃材の運搬処分費が含まれるので、一般的には小規模な解体工事であっても5万円前後はかかってしまうと考えておいた方が良いでしょう。
そのほか、ブロック塀を新設する場合の費用の目安は以下の通りです。
ブロック塀の新設(既存の基礎が再利用できる場合) | 10,000円/㎡程度 |
アルミ形材フェンスの新設(高さ60~80cm) | 8,000円/m~10,000円/m |
ブロック塀の解体には費用がかかるので、倒壊する危険があると知っていながらもそのまま放置しておく人が少なくありません。
そのため、危険なブロック塀を解体してもらうために補助金を出している自治体もあります。
補助金の額は自治体ごとに異なりますが、5万~50万円程度になっていることが多いようです。
補助金の支給対象となる工事も自治体によって異なり、既存のブロック塀の撤去のみで新設分については対象外である場合や、隣地との境は対象外である場合もあります。
そのため、まずは自分の住む地域の自治体にどのような補助金制度があるのかを確認してみると良いでしょう。
ただし補助金の申請は必ず解体工事に着手する前に行う必要があり、工事が終了してからの申請は受け付けてもらえないので注意が必要です。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
ブロック塀は道路境界線上や隣地との境界線上に建っていることがほとんどなので、解体工事を行う際に近隣とのトラブルが発生してしまうことが少なくありません。
この章では、ブロック塀の解体時に発生しやすいトラブルを防ぐための注意点を紹介します。
ブロック塀を解体しようとしたところ、そもそもブロック塀が自分の所有物ではなかったというケースが稀にあります。
そのようなことにならないためにも事前に境界杭を確認して、ブロック塀の所有者を明確にしておくことが大切です。
また、ブロック塀が隣人との共有物になっていることがありますが、この場合には勝手に解体してしまうことはできません。
事前に隣人の承諾を得て費用を折半にする交渉が必要ですが、必ずしも承諾が得られるわけではありません。
場合によっては自分で解体費用を全額負担して、解体後には自分の敷地内にブロック塀やフェンスを新設することになります。
ブロック塀の解体は、近隣からのクレームが非常に発生しやすい工事といわれています。
廃材搬出車両の路上駐車や、工事中の振動、騒音、ほこりの発生など、実際に近隣住民に対して迷惑を掛けることになるのは間違いないでしょう。
また、状況によっては隣地の敷地内に解体作業員が立ち入ってしまうこともあります。
こうしたトラブルを避けるためにも、解体工事を行うことを事前に近隣住民へお知らせしておく必要があります。
挨拶をする際は、簡単な挨拶状と粗品を持参すると良いでしょう。
解体工事で発生しやすいトラブルについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ブロック塀の解体は、外構工事業者に依頼して解体後に塀の新設まで行うよりも、解体工事業者に依頼した方が費用が高額になります。
塀の解体は作業が行いづらくなる傾向があり、どうしても作業効率が低くなってしまうためです。
また、立地条件や解体する場所、工事のボリュームによっても作業方法が大きく変わってしまうという側面があります。
そのため、ブロック塀以外にもカーポートの撤去や家の解体を同時に行うことで費用が非常に安上がりになることが多いようです。
目先の解体工事のみにとらわれるのではなく、解体後のことまで考えて計画を立てましょう。
ブロック塀の建築基準法上の規定は満たしているものの、部分的に軽微なひび割れが発生しているだけという場合であれば、補修や塗装で済ませることも可能です。
部分的なひび割れ補修や、ひび割れしているブロックのみを交換したりすることもできるので、必ずしもすべて解体してしまう必要はありません。
また、劣化して見栄えが悪くなったブロック塀全体の補修方法として、塗装工事を行うケースも少なくありません。
高圧洗浄で汚れやコケ、カビなどを洗い落とした後に下地処理を行い塗装するか、吹き付け塗装を行います。
DIYで施工することも不可能ではありませんが、面積の広いブロック塀は塗装で雰囲気が大きく変わってしまうので、自信がないようであればプロに任せた方が無難でしょう。
塗装業者に依頼する場合の費用は2,700~3,000円/㎡程度で、コテで仕上げるジョリパットなどの場合にはプラス3,000~4,000円/㎡程度の費用を見込んでおく必要があります。
建築基準法に違反したブロック塀や老朽化したブロック塀は非常に危険です。
そのまま放置しておくと倒壊の危険性があるばかりでなく、地震などの災害発生時には人命を奪ったり、道路を塞いでしまったりすることにもなりかねません。
そうなってしまえば近隣住民にも迷惑を掛けてしまいます。
一定の年数が経過していたり異常が現れていたりする場合には、速やかに対処することが重要です。
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