解体業者を設立するために必要な手続き・費用・資格など解説

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解体業者を設立するために必要な手続き・費用・資格など解説

独立して解体工事業者を設立する場合、どんな資格や手続きが必要でどれくらいの資金を用意しなければならないのでしょうか。

この記事では、新たに解体工事業者を設立するために必要な許認可の種類や手続き方法、解体業者設立のための解体工事に必要な資格・講習・費用や、実際に事業を開始する手順などについて詳しく紹介します。

解体業者を設立するために必要な許認可の種類

解体業者を設立するために必要な許認可の種類

解体業者となるためには、必要な許認可を保有していなければなりません。

現在では必要な許認可を取得していないと違法行為となってしまうので要注意です。

このように、解体業を営む会社を設立して事業を継続して行っていくためには、「建設業の許可」を取得するか「解体工事業登録」のいずれかを行う必要があります。

まずは解体業者を設立するために必要な許認可について見ていきましょう。

建設業許可

建設業許可とは建設業法によって定められたもので、全部で29種類あり、その中に解体工事に係るものとして「解体工事業の許可」があります。

建設業許可を受けた解体業者は、工事費が500万円(税込)以上になる解体工事全国どこでも請け負うことができるようになります。

また、戸建て住宅に限らず、集合住宅や商業施設、オフィスビルなどの大型の建築物の解体工事を行うことも可能です。

ただし建設業許可の有効期限は5年で、更新する場合には期間が満了する日の30日前までに更新手続きを行う必要があります。

解体工事業登録

解体工事業登録とは建設リサイクル法で定められた「解体工事を行うために必要な登録制度」のことをいい、都道府県知事からの登録を受けていれば建設業許可を所有していなくても解体工事を請け負うことができます。

ただし請け負うことが可能なのは、登録を受けている都道府県内の500万円(税込)未満の解体工事に限られるので注意が必要です。

このように、建設業許可との最大の違いは工事の請負代金の上限額になります。

また、建設業許可と同様に5年ごとに更新が必要になるので注意してください。

解体工事業登録から始めるのがおすすめ

建設業許可を取得するための要件は解体工事業登録を行うための要件と比較して、よりハードルが高くなります。

例えば解体工事の経験や実績が豊富であったとしても、経営業務の管理責任者として十分な経験を持つ者が在籍していなければ建設業の許可を受けることができません。

一方、一般的な木造住宅の解体工事であれば工事費が500万円を超えることはごくまれなケースなので、解体工事業登録を行っていれば十分といえます。

したがって新たに会社を立ち上げるのであれば解体工事業登録から始めるのがおすすめで、実際にほとんどの会社が解体工事業登録からスタートしています。

解体業者設立のための工事業登録の申請方法

解体業者設立のための工事業登録の申請方法

前述したように新たに解体工事会社を設立するにあたっては、解体工事業登録から行うのが得策です。

そこでこの章では、解体工事業登録の申請方法について詳しくご紹介します。

解体工事業登録に必要な「技術管理者」になるための要件

解体工事業登録は事務所を置く地域だけでなく、工事を行う地域を管轄している都道府県にも申請して登録を受ける必要があります。

管轄外の都道府県で解体工事を行う場合には、その都度地域を管轄する都道府県知事に登録申請する必要があるので要注意です。

また、解体工事業登録を行うにあたっては、基準を満たす「技術管理者」がいることが要件になっています。

「技術管理者」とは、解体工事を行う現場において工事の技術や安全における指導・管理を行う人をいいます。

技術管理者になるための要件は、一定の有資格者(建築士、建築施工管理技士、土木施工管理技士、技術士、建設機械施工技士等)または一定の実務経験を有する者となります。

さらに欠落要件などに該当しないことが条件で、すべてクリアした場合に技術管理者として選任することができます。

なお、詳細は各自治体のホームページなどで確認してください。

解体工事業登録の申請の流れ

解体工事業登録の申請の流れはおおむね以下のようになります。

  1. 解体工事を行う区域を管轄する都道府県知事へ必要書類を添付して申請する
  2. 知事は申請者が解体工事業者として法令に定められた要件を満たしているかどうかを審査する
  3. 知事が要件を満たしていると判断した場合には「解体工事業者名簿」に登録するとともに、申請者へ登録した旨の通知を行う

なお、登録び更新に係る申請から交付までの標準処理期間は30日となっていることがほとんどのようです。

詳しくは各都道府県のホームページで申請書類の記入例などが閲覧できるので、参考にしましょう。

解体業者設立のための解体工事に必要な資格、講習

解体業者設立のための解体工事に必要な資格、講習

解体業者には建築士や施工管理技士などの登録に必須となる資格者以外にも、現場においては工事を円滑に行うためのさまざまな資格や講習が必要です。

会社を設立して登録しただけでは実際に解体工事を行うことができないので、こうした実務に必要な資格や講習についてもよく理解しておかなければなりません。

そこでこの章では、解体工事に関連する代表的な資格や講習についてご紹介します。

重機操作

解体工事にはさまざまな工程があり、工程ごとにそれぞれ必要な重機を使用することが少なくありません。

そして重機を使用するためには、それぞれの重機の種類に応じて「建設機械施工管理技術検定」「小型移動式クレーン運転技能講習」などの重機操作に関わる資格や講習の受講が求められます。

これらの資格や講習は、単に建設機械運転技術者の操作技能を対象とするばかりではなく、施工管理を行う上でも役立つものです。

また、クレーンで物を吊り上げるための玉掛作業を行うには「玉掛け技能講習」を修了しなければならないなど、解体現場ではさまざまな資格が必要になります。

アスベスト関連

近年ではアスベスト(石綿)が呼吸器に入り込むことで様々な健康被害を引き起こすことが広く知られるようになりました。

そこでアスベストが使用されている建物をすべて自社で解体する際には、「石綿作業主任者」の技能講習を受けた有資格者を専任して現場に配置することが法律で定められています。

また、事業者はアスベストが使用されている建築物の解体等の作業に従事する者に対して「石綿取扱い作業従事者特別教育」を受講させるとともに、特殊健康診断を実施しなければならないことが定められています。

アスベストの解体工事の流れについては、以下の記事を参考にしてください。

その他

足場の組み立て等作業主任者

解体工事を行う際には、事前に解体する建物の周囲に足場を組んで養生シートで覆うことが一般的なのですが、高さ5m以上の足場の組み立てには「足場の組み立て等作業主任者」を配置しなければなりません。

安全衛生教育(職長教育)

労働安全衛生法では、事業者は職長等に対し安全衛生教育(職長教育)を行うよう規定されています。

職長・安全衛生責任者教育

建設業では職長が安全衛生責任者に選任されることが多いため、厚生労働省は「職長・安全衛生責任者教育」の実施を推進しています。

作業主任者

そのほかでは、労働災害を防止するために労働安全衛生法によって作業主任者を選任しなければならない作業が定められています。

先に述べた足場の組み立て等作業主任者のほかに、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者や、5m以上の鉄骨造の建物の解体を行う際に必要な建築物等の鉄骨の組み立て等作業主任者などがこれに該当します。

ガス溶接作業主任者

ほかにも、アセチレン溶接装置などを使用して現場で溶接、溶断、加熱作業などを行う際にはガス溶接作業主任者の配置など、解体現場ではさまざまな資格が必要です。

実際に事業を開始する手順

実際に事業を開始する手順

実際に解体工事を受注して事業に着手するためには、どのようにすれば良いのでしょうか。

まずは会社を設立して事業を開始する手順について説明します。

会社を設立するための手続き

会社を設立するまでのおおまかな流れは以下の通りです。

1.会社の基本事項を決める

基本事項とは会社名(商号)、住所(所在地)、事業内容、資本金、発起人(自分以外でも一緒に会社を立ち上げ、そのために出資する人であれば発起人とすることが可能)、事業年度です。

2.定款を作成して公証人の認証を受ける

会社の基本的な規則を定めて文書にしたものを公証役場に持っていき、公証人の認証を受けると定款としての効力を生じるようになります。

3.出資金の払い込みをする

会社の資本金とするためのお金を会社に出資します。

4.会社設立の登記を申請する

登記の申請をすると、定款に記載されている情報が法務局で審査され、受理されれば登記簿に記載されます。

5.税務署に届出を行う

必要書類を作成して税務署に届け出ます。

個人事業主として開業するための手続き

個人事業主として開業するのであれば、簡単な書類を提出するだけで手続きが終了します。

開業するすべての個人事業主が提出する書類には、税務署に提出する個人事業の開業・廃業等届出書があります。

また、確定申告を青色申告する場合には、所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。

開業届と一緒に提出してしまいましょう。

青色申告は白色申告と比較して詳細で複雑な複式簿記による記録が必要ですが、最大65万円の控除が受けられるなど節税効果が高いので、青色申告を選択することをおすすめします。

個人事業主として開業するのは、会社を設立するのと比べてはるかに簡単な手続きだけで済んでしまいます。

そのためとりあえず個人事業主で開業して、売り上げや利益が大きくなったら会社を設立しようと考えている方が多いでしょう。

ただし個人事業主は一般的に社会的な信用度が低くなってしまうので、営業面や金融機関から融資を受ける際、取引先の開拓などでは不利になってしまいがちです。

解体業者を設立するために必要な費用

解体業者を設立するために必要な費用

解体工事業を営むためにはどれくらいの費用が必要になるのでしょうか。

会社設立のために必要な大まかな費用をまとめてみました。

解体工事業登録45,000円(東京都の場合)
会社設立費用(登録免許税等)250,000円程度(株式会社の場合)
印鑑(代表印 、角印、銀行印等)30,000円程度
名刺(100枚)500円~1500円
ユニフォーム(社名入り)7,000円~10,000円程度
ヘルメット3,000円~6,000円程度
パソコン70,000円~120,000円程度
プリンター(FAX、コピー、スキャナー付き)50,000円~100,000円程度
固定電話(親機+子機1台)5,000円~10,000円程度
携帯電話(一括払いの場合)30,000円~50,000円程度

ここまでが最低限必要となると思われる費用ですが、合計で約50万円~60万円になります。

そのほかにも事務所開設費用(購入または賃貸の場合)、社用車・備品・事務用品などの購入費用、営業のための費用、雑費が必要になるでしょう。

また、資本金を用意したり社員を雇用したりするのであれば、その分の費用が上乗せされます。

そのため、新たに解体業者を設立するとなればどんなに少なく見積っても150万円以上の費用を準備しておく必要があるといえるでしょう。

まとめ

解体業者を新たに設立する際には開設資金の問題のほかに、許認可のことや資格のこと、営業的な課題など、解決すべき問題がたくさんあります。これらの問題を明確にして、ひとつずつ解消していくことが重要です。

開業してから新たな問題が発生することがないように、必要な資金を貯めて資格を取得するなど着実な事前準備を行うことが大切です。

本記事を参考に、最善のかたちで開業しましょう。

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この記事のライター

亀田 融

東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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