古家や空き家を解体する際、井戸が敷地内にある場合や解体途中に井戸が見つかった場合は、井戸の埋め戻しをする必要があります。
しかし解体途中で古井戸が見つかった場合、何もわからず高額な追加解体費用を請求されてしまったというトラブルもあるようです。
また、井戸を解体して埋め戻す場合にはお祓いをする習わしがあります。
お祓いは必ずしもしなければいけないというわけではありませんが、地域によっては必ずするものと考えているところもあります。
そこでこの記事では、井戸の埋戻しにかかる費用やお祓いの必要性について詳しく解説します。
目次
井戸の埋戻しには解体費用がかかります。
初めから井戸があると認識できていれば、もともとの見積りにその費用が組み込まれている場合もあります。
少しでも費用を抑えようと井戸の埋戻しを自分で行おうと考える方もいますが、素人が行うのは難しいでしょう。
解体業者などに依頼をした場合の井戸の埋戻しにかかる費用相場は10万円前後ですが、井戸の形状や大きさによって費用は変動します。
また、あとから井戸が見つかった場合は追加費用が発生します。
解体途中に見つかれば解体ついでに作業ができるので追加費用はそこまで高くなりませんが、解体作業が終わったあとに井戸が見つかった場合は追加費用が高くなる傾向があります。
追加費用が発生したときは、その都度正確な見積もりを出してもらうよう依頼しましょう。疑問がある場合には質問をして、不安を解決しておくのが重要です。
古家の解体については、以下の記事を参考にしてください。
井戸の埋戻しをする際、お祓いをする風習があるのには理由があります。
昔は生活するための水源をほとんど井戸水でまかなっていました。人が生活するとき、水は必要不可欠であり、水をもたらす井戸は神聖なものとして扱われてきたのです。
また、井戸は神様の住まう場所であり、神様を守る場所としても考えられていました。
そのため、取り壊すのは罰当たりな行為ととらえられ、縁起を担ぐため解体するときにはお祓いや息抜きをする風習ができたのです。
息抜きは井戸内部へパイプなどをつなげ、水の神様の通り道とする意味合いがあり、加えて井戸に溜まった水やガスが外へ抜けるようにする実用的な役割もあります。
しかしお祓いが行われる背景は宗教的な意味合いが強いため、厳密に言えば強制されるものではありません。
お祓いは、お祓い方法や準備するものなど地域によって大きな違いがあります。
必ずすると考えられている地域もあればそうでない地域もあるので、解体現場となる地域の習わしについてリサーチすると良いでしょう。
親戚や親族、地元の人に確認するのも有効な方法です。その土地に長く住んでいれば、井戸の埋戻しの風習について知っている可能性が高いでしょう。
参考までに富山県にある神社の例を紹介します。
所要時間 | 約20分 |
初穂料 | 2~3万円 |
準備するもの | 1.新米の白米 2.日本酒 3.粗塩 4.水 5.あれば自家栽培の野菜など |
白米の量や日本酒、粗塩の量はその都度違ってくるようなので、お祓いを依頼する神社や寺に確認してください。
井戸の埋戻しのお祓いや息抜きの依頼は、お寺や神社に行います。
井戸埋戻しをお寺や神社に依頼するときの費用相場は3万円程度です。ただし現場までの距離があるときは、1〜2万円ほど高くなることもあります。
息抜きはパイプをつなげる作業なので、基本的には解体業者が請け負ってくれます。
息抜きにかかる費用は5,000円程度で、水抜きや井戸内部の廃材撤去費用などと一緒に井戸埋戻し費用の内訳に記載されます。
初めから井戸があるとわかっている場合は、解体費用の見積もりに記載されていることが多いようです。
井戸の埋戻し手順は、以下になります。
1.井戸内部の不用品撤去 |
廃材や枯れ木・枯れ葉などを撤去し、メタンガスの発生を防ぐ |
2.井戸内部の清掃 |
水抜きをし、清掃をする。感謝の意を込めることにもなる |
3.魂抜き(お祓い) |
井戸に宿る神様への感謝の気持ちをあらわし、工事の安全祈願をする |
4.息抜き |
パイプや竹筒を入れて、神様の通り道を作る。ガス抜きの意味合いもある |
5.井戸枠の取り除き |
砂利や土砂など、地層にあった砂を入れていくので慎重な作業が求められる |
6.地上の井戸部分も撤去し完全に砂で埋め立てる |
井戸の地下部分まで撤去した後、残る地上部分も撤去し埋め立てたら施工完了 |
業者によって順序が多少変わることもあるようですが、おおむねこのような流れになります。
また、井戸の土管は撤去しておいた方が無難です。
土管の周りに空洞があると将来的に土地が陥没する可能性がありますので、将来的に土地の売却を考えている場合は撤去をした方が良いでしょう。
井戸の埋戻しは、家を解体する業者にそのまま依頼することができます。
初めから井戸があるとわかっている場合は、あとから高額請求されないようにあらかじめ井戸の埋め戻しをしてほしい旨を伝えて見積りを出してもらうと良いでしょう。
ここでは、解体業者選びのポイントを紹介します。
家の解体業者がまだ決まっていない場合、井戸の埋戻しが可能かどうかも選ぶポイントになってきます。
現地調査をして井戸が発見されることも十分ありますので、必ず現地調査をしてもらった上で複数の業者から見積りを取ると良いでしょう。
相見積りをすると費用の比較ができ、またコミュニケーションも取れるので、信用できる業者なのか判断する基準になります。
大きなトラブルを避けるためにも、解体業者選びはとても大切です。優良解体業者の選び方については、以下の記事を参考にしてください。
井戸埋戻し工事をするときには、いくつか注意点があります。
中には知らずに業者に丸投げしたら、気づかぬうちに法律違反をしていたということも。
知っているかどうかでトラブルに遭ってしまう確率もグッと下がりますので、頭の隅に入れておきましょう。
以前の日本では実際に解体で出た廃材等を井戸に埋めてしまう方法も取られていましたが、2021年現在では水質保全の観点から禁止されています。
廃材等を井戸に埋めてしまうと雨水をそのまま下水に通しやすくなり、地域の井戸の水質に問題が生じる可能性が上がるためです。
汚染された水で人体に影響が出てしまい、とても大きなトラブルとなります。トラブルの際は、井戸を再度掘り起こして埋め直さなければいけません。
その際は井戸埋戻しの費用だけでなく掘り起こす費用もかかりますので、工事費用は高額になります。
そのため、施工業者が廃材等を埋めてしまっていないかをしっかり確認する必要があります。
井戸埋戻しの解体工事中に地下建造物や地中埋設物が見つかった場合、安易に取り除くのは避けてください。
特に地下建造物は、周辺の地盤を支えていることがあります。よく調べもせず安易に取り除いてしまうと、近隣の家屋が地盤沈下で傾いてしまうリスクが生じます。
施工業者は解体する井戸周辺の地下がどうなっているのか確認しながら、慎重な作業が求められるでしょう。
解体前の現地調査で井戸がわかると良いのですが、埋め戻してあるわけでなく、蓋で隠れている場合もあります。
しかしこのような場合であっても、工事終了後に発見されれば追加の解体費用が発生します。そのため、現地調査の際になるべく細かくチェックしてもらうようにしましょう。
井戸埋戻しの工事は慎重な作業が求められます。自分で工事してしまうのはとても危険なので、きちんと許可のあるプロに任せましょう。
素人が安易に手を出すと水質汚染の可能性も高まり、周りの住民へ被害を及ぼすことも考えられます。専門業者に工事を依頼し、可能であればお祓いをしておくと安心です。
お祓いは地域によって方法に違いがあるので、その土地に古くから住んでいる人や、神社・寺に問い合わせてみると良いでしょう。
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