解体工事の依頼を検討する際には、必ず複数の解体業者から相見積もりを取得したうえで比較検討をする必要があります。
しかし見積もり書の見方が分からず、「どこを比較検討すれば良いのか分からない」という方も多いと思います。
そこで今回は、解体工事の見積もり書の正しい見方や比較方法、チェック項目などを紹介します。
目次
相見積もりとは何かを購入したり業者に仕事を依頼したりする際に複数の会社にあらかじめ同じ条件を提示し、見積もりを出してもらうことをいいます。
1社のみの見積もりだけではその金額や作業内容などが妥当なものなのかどうかを判断できないため、解体工事の依頼をする際にも相見積もりが必要です。
ただし、同じ条件の下で見積もりしてもらうことが非常に重要になります。
外壁塗装の場合には費用相場というものがあるので、それを考慮したうえで各社の見積もり内容を比較検討し、業者を絞り込むことが大切です。
また、相見積もりを取ることで各業者の対応や企業姿勢、担当者の経験・知識などを見極めることができますが、相見積もりを依頼する側も事前に解体工事の最低限の知識を身に付けておくことが大切です。
業者選定に失敗してしまうと工事の不具合や連絡ミスや思い違いなどが発生するなど、費用と時間の両面で大きなロスになるばかりでなく、精神的にも大きな痛手を受けてしまうことにもなりかねません。
それを防ぐためにも、相見積もりが非常に重要です。
複数の業者から相見積もりをとる際には、注意すべき点がいくつかあります。
この章では、相見積もり取得前の確認ポイントを4つ紹介します。
せっかく複数の業者から相見積もりをとっても、ある程度の費用相場を知っていないと見積もり総額の高い安いだけで業者を判断するようになってしまいます。
解体業界では、見積もり総額が安いからといって必ずしも優良業者とはいえないので注意が必要です。単に総額のみを比較するのではなく、見積もりの内容まできちんとチェックすることが大切です。
以下の表で、解体費用の相場を構造別に紹介します。
建物の種類 | 1坪あたりの解体費用 |
木造 | 3~5万円 |
鉄骨造 | 4~6万円 |
鉄筋コンクリート | 5~8万円 |
木造が一番安く、鉄骨や鉄筋コンクリートになると数万円程度高くなる傾向にあります。
一軒家の解体工事の相場や費用を安くするためのコツや注意点は、以下の記事で詳しく紹介しています。
相見積もりをとる際にはできるだけたくさんの業者に依頼した方が良いと思いがちですが、業者を2〜3社に絞った方が良いといわれています。
多くの業者に依頼すれば現場での立ち合いや提出された見積もり書の説明を受けるのに時間がかかってしまい、かなりの手間と時間がかかるのは避けられません。
また、人気のある優良業者の担当者ほど常に多くの案件を抱えており忙しいものです。
見積もり書の作成には最低でも1〜2時間程度の時間がかかってしまうほかに、見積もり書を作成するための現場調査や見積もり内容の説明にも時間がかかります。
人気業者は相手が6社も7社も相見積もりをとっていると知ると、もっと受注できる可能性の高い他の案件に時間をかけようとするのが自然です。
そのため、相見積もりは多くても4社までにしておくようにしましょう。
業者に相見積もりを依頼する際は、見積もりを依頼する全業者に同じ希望条件を伝えておく必要があります。
同じ希望条件を満たす見積もり書でなければ見積もり内容を比較することができず、たとえ金額や工事内容が違ったとしてもその妥当性を判断することはできません。
建築業界では日常的に相見積もりが行われており、解体工事も例外ではありません。
相見積もりを取得することはマナー違反と思う方もいるかもしれませんが、決してそのようなことはなく、業者の方でも承知しています。
しかし相見積もりをとる際には念の為、必ず相手側に相見積もりであることを伝えておきましょう。
相見積もりであることを伝えておくことにより、業者同士の競争心を引き出すことができる・契約を急かされたりせずに比較検討する時間を持つことができるなどのメリットがあります。
また、万が一断る場合も断りやすくなります。業者に対するマナーという面でも、事前に相見積もりであることを伝えておくことが大切です。
ここでは、見積もり書に必ず記載が必要な確認項目について紹介します。
撤去する建物の面積や建物の数、植栽やカーポートやブロック塀の撤去、井戸・便槽の撤去、工事後の砕石敷き等の条件が揃っているかの確認を行います。
養生を行う面の数や高さ、面積が合っているかの確認を行います。
また、骨組みの材質(鋼製足場、単管パイプ、木製の丸太)、養生シートの仕様(防音、通常)の確認も併せて行います。
建物内の残置物(家具、家電、家財道具一式)の撤去が含まれているかを確認してください。
解体工事の前に、アスベスト除去工事を行う必要があるかの確認を行います。
地中に埋められている鋼管杭を抜く費用が含まれているかの確認をします。
これら5点の見積り内容に差がないかを確認し、万が一差があった場合には再提出を依頼しましょう。
ここでは、見積書の比較項目について紹介していきます。
あまりにも費用が安い解体業者は要注意です。
ゴミの運搬処理にもコストが掛かるため、不法投棄を行うことでその分安く見積りを出し、とにかく受注を取ろうとする業者も存在します。
また、解体工事では追加費用が発生する場合もあります。
そのため、追加費用の扱いについて事前に解体業者から説明があり、その内容についてきちんと理解して納得できることが大切です。
万一説明がない場合には、追加費用の取り扱い方法について質問しておくと良いでしょう。
悪徳業者は見積もりでは安い金額を提示しつつ事前説明なく不当な追加費用を請求することがあるので、十分に注意する必要があります。
工事項目や工事内容、数量や単価などの内訳がわかりやすく見積書に明記されていない場合は、注意が必要です。
特に数量や単価が一式表記ではなく、詳細に記載されているかどうかが重要なポイントです。
解体工事では契約内容をよく確認しないまま契約をしてしまい、後でトラブルになることが少なくありません。
そのような事態にならないためには、業者による解体費用に関する詳しい説明が不可欠です。
解体工事を行う際は、業者側が建設業法によって定められた建設業許可もしくは建設リサイクル法で定められた都道府県知事の解体工事業登録のいずれかを取得している必要があります。
建設業の許可を受けていれば、都道府県に限定されることなく全国で解体工事を請け負うことができます。
ただし建設業許可の取得にはさまざまな条件があるため、取得できる業者が限られています。
解体工事業登録は工事費が税込500万円以下の工事に限り、受注することができる許可です。
都道府県ごとに登録する必要があり、登録した都道府県以外では解体工事を行うことはできません。
家屋の解体工事を行う際は廃棄物処理法や建設リサイクル法などの法律の遵守が不可欠で、建物の取り壊しや廃棄物の処分を合法的に行うことが求められます。
しかし安さだけを売り物にしている業者の中には、産業廃棄物を不法投棄したり廃材を敷地内に埋めたりしてしまう業者も存在します。
このような不法投棄等を防止する目的で、現在では産業廃棄物の委託処理における排出事業者責任の明確化と不法投棄の未然防止を目的としてマニフェスト制度が設けられています。
このマニュフェスト制度では産業廃棄物を排出事業者が自らの責任で適正に処理することが義務づけられているため、廃棄物の処理を他人に委託する場合にはマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する必要があります。
このマニフェストは廃棄物が正しく処理されたことを確認するためのものです。
解体工事を依頼する際は、最終処分場で処理されたことを証する書類である「マニフェストE表の写し」をもらえるかどうかを業者に確認しておくと良いでしょう。
E表に収集運搬業者のサインや中間処分業者の受領と処分の受取印、最終処分業者の処分終了日の押印がされていれば、廃棄物が適正に処理されたことを確認できます。
さらに解体業者が行政処分や指名停止などを受けていないかどうかを確認したい場合には、各都道府県の担当窓口やホームページで確認することができます。
不法投棄をしない業者の選び方については、以下の記事で紹介しています。
どんなに注意を払っていたとしても工事現場では万が一の事態は避けられませんが、解体工事も例外ではなく、万一事故が発生した場合には責任のある対応が求められます。
そのため、解体工事業者は事故が発生した場合に備えて十分な補償を行うための損害賠償保険に加入する必要があり、発注者はこれを事前に確認しておくことが大切です。
保険加入の有無を保険証書のコピーなどで確認するとともに、保険の限度額、適用期間、事故の適用範囲なども併せて確認しておくと安心です。
契約書は施主、解体業者の双方にとって何か問題が発生した際に自分自身の身を守るための大切な証拠となるものです。
しかし解体業者の中には、お互いの信頼関係を重視するあまりに口約束だけで工事を行おうとする業者もいるので要注意です。
工事着工前には必ず業者と契約書の取り交わしを行っておくことで、後のトラブル発生を防ぐことができます。
その際には工事内容や支払金額はもとより、工事期間、支払期限、予期せぬ問題が発生した場合の責任の所在などについても記載してもらっておくと良いでしょう。
解体工事では十分に注意して作業にあたっていたとしても、事故やトラブルが発生してしまう可能性があります。
実際に、家屋を解体する際の振動で隣家の外壁にひび割れが生じてしまった、粉じんで近隣に迷惑をかけてしまったなど、度々トラブルが発生しています。
そのため、解体工事を行う際にはこうした場合の対処法が事前に定められていることが重要です。
また、対処法だけでなくトラブルを未然に防ぐ対策が講じられているかどうかも業者を選定する上での大切なポイントになります。
安心、安全が最も重要な点であることを決して忘れてはいけません。
解体工事で発生しやすいトラブルなどについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
解体工事の実績や施工事例も、確認しておきたい項目のひとつです。
今までに行なった解体工事の例などは業者のホームページなどに掲載されていることが多いようですが、見当たらない場合は業者に施工写真などを確認させてもらうと良いでしょう。
ここでは、相見積もりを取る上で気を付けることややってはいけないことを紹介します。
前述したように、相見積もりをとる際には全ての業者に同じ工事内容、同じ要望を伝えておくことが大切です。
各社に見積もりを依頼するまでに、どのような工事を行いたいのか、工事範囲はどこまでなのか、希望の耐用年数はどの程度なのかなどといった要望事項を全て洗い出し、書面等にまとめて全ての業者に渡す等の工夫が必要です。
見積もりの条件が変わると、場合によっては現地調査のやり直しが必要になることもあります。
条件変更は多くても1度程度で済むように、業者に見積もりを依頼するまでには工事内容を十分に検討しておくことが大切です。
見積もりを依頼した全ての業者から見積もり書が提出される前に、1社に絞って契約してしまうのはマナー違反となります。
約束した全ての業者の見積もり書の提出期限を待ってから1社を選び、契約をするようにしましょう。
金額の安さは業者の選定基準のひとつですが、それだけでは決して良い業者であるとは限りません。
見積もり時の対応や提案内容、担当者の人柄・専門知識の有無、工事後の保証、アフターサービス体制など、さまざまな面から検討して業者を選ぶようにしましょう。
アスベストが建物に含まれる際には、解体工事の前にアスベスト除去工事を行う必要があります。
アスベスト除去工事が必要な場合は解体工事とは別に費用が発生するため、一度確認しておいた方が良いでしょう。
アスベスト除去工事については、以下の記事を参考にしてください。
その際には、電話やメールなど(できれば電話で担当者に直接伝えることをおすすめします)で、できるだけ早くはっきりと伝えることが大切です。
その際に値引きを打診されたり契約しない理由を聞かれたりすることがありますが、無理して答える必要はありません。
自分の意思を相手にはっきりと伝えるだけで良いでしょう。
また、断りの連絡をしないままでいると業者が工事の準備を始めたり後から催促の電話がかかってきたりするので、きちんと断りの連絡を入れておくことが相手に対する礼儀です。
今回は、解体工事の見積書の正しい見方や比較方法、チェック項目などについて解説しました。
解体工事を依頼する際には必ず、複数の業者を比較検討する必要があるでしょう。
見積もり書をしっかりと比較することで、優良な業者の見極めや工事開始後のトラブルなどを事前に防ぐことができます。
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