火事に遭った建物の取り壊しはどこに依頼すれば良いのでしょうか?解体費用の相場も知りたいです!

  よくある質問
質問に答えるだけで解体費用相場がわかります
解体を検討している建物の種類はなんでしょうか?

自宅が火事に巻き込まれて全焼したため、残された建材や残置物などの処分を検討しています。

このような場合の解体作業はどこに依頼すれば良いのでしょうか?

また、火事に遭った建物を解体する際の解体費用の相場はいくらくらいでしょうか?

火事に遭った建物の解体は解体業者に依頼をしてください。

火事に遭った建物の解体は解体業者に依頼をしてください。

火事の後の解体や後処理は解体業者が対応可能

自宅が火事に遭ってほとんど燃えてしまった場合でも、残された建物の撤去は解体業者に依頼することができ、解体工事の手順も通常の解体と同様に行われます。

しかし解体費用は高額になってしまうケースが多くなります。

多くの方は火事で家屋が一部焼失してしまった後なので、費用は通常の解体工事を行う時よりも安く、かつ工事も簡単に行うことができると考えがちです。

しかし実際には火事で焼け残った残骸の処理費用は高額になるので、決して解体費用が安く済むわけではありません。

また、解体工事の際には業者側による廃棄物の分別処分が義務づけられていますが、火事の後は分別する手間もかかるため、その分の費用が高額になってしまう傾向があります。

火事に遭った時の手続きの流れ

火事に遭った時の手続きの流れ

火事に遭った建物を解体する際には、解体工事に着手する前に必要になる手続きがあります。

この章では、火事に遭った建物を解体する際の解体工事前の手続きの流れを紹介します。

1-1罹災証明書の取得

火事に遭った場合には、まずは罹災証明書を取得する必要があります。

罹災証明書とは建物が火災の被害を受けたことを証明する書類で、火災保険の手続きや固定資産税の減免申請等を行う際に必要になる書類のことです。

罹災証明書は消火活動にあたった消防署で受け取ることができ、全ての手続きが終わるまで大切に保管しておく必要があります。

また、火事現場での片付けを市区町村の清掃局に依頼する際にも罹災証明書が必要になります。

罹災証明書の詳細については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

1-2保険会社へ連絡

住宅ローンを組む際には、任意の火災保険に加入していることがほとんどです。

まずは加入している保険がどのような火災に対応しているかを確認し、対応している場合は罹災証明書を取得後に保険会社に連絡して、保険金請求の手続きを行います。

保険会社に連絡すると保険会社が火災に遭った建物を調査し、調査結果を元に保険金額が算出されます。

ただし保険会社の調査前に解体工事を行ってしまうと保険金が算出できなくなってしまうので注意が必要です。

最悪のケースでは、保険金を受け取ることができなくなってしまいます。

1-3焼け跡の確認とライフラインの解約

焼け跡の確認とライフラインの解約

罹災証明書の取得と保険会社への連絡が終わったら、焼け跡の確認とライフラインの解約を行います。

焼け跡の確認

火災現場には、まだ使用できる家具や家電、金品などを狙った「火事場泥棒」が出現することがあります。

そのため、消火活動が終わったらできるだけ早めに焼け跡の確認を行い、使用できそうなものがあれば回収しておくようにしましょう。

再出火のおそれのあるものが残っている可能性もあるので、これらを予防するためにも焼け跡の確認はしっかりと行っておく必要があります。

ライフラインの解約

電気やガス、水道などのライフラインもそのまま放置しておくと引火や漏電、ガス漏れなどを引き起こす危険性があります。

契約会社に連絡して、ライフラインの解約を必ず行っておきましょう。

1-4解体工事の依頼

ここまでの手続きが終了したら、解体業者に焼け残った家屋の解体工事の見積もり依頼を行います。

火事で被災した建物といっても、特に火災物件専門の解体業者が存在している訳ではありません。

そのため通常の解体工事と同様に、解体業者に見積もり依頼を行うことになります。

通常の解体工事であれば解体後の木材などは資源として再利用できますが、火災に遭った建物の木材や建材は再利用することができずゴミとして廃棄されることがほとんどです。

そのため、通常の解体工事よりも費用が高額になってしまうのが一般的です。

少しでも費用を安く抑えるためには1社だけではなく複数の解体業者から相見積もりを取得すると良いでしょう。

解体費用を含めてさまざまな面から各社の見積もり書の内容を比較検討した上で業者選定を行うことが大切です。

1-5仮住まいの手配

自宅が火事の被害に遭ってしまった場合は仮住まいの手配が必要

自宅が火事の被害に遭ってしまった場合には、その後もそこに住み続けることは非常に困難といえます。

たとえ半焼程度の火災であったとしても建物の構造躯体は大きなダメージを受けているため、当面の間滞在する仮住まいの手配が必要になります。

仮住まいや滞在先がみつからない場合には、管轄の自治体に相談することで自治体が管理している市営住宅などの物件に入居させてもらえることがあります。

また、契約している火災保険会社から仮住まいに入居するための補助金を支給される場合もあるので、解体工事の手配と同時に仮住まいの確保を併せて行っておきましょう。

建て替え中の仮住まいの探し方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

1-6解体工事の着工

複数の業者の見積もり書の内容を比較検討した上で工事を依頼する業者を決定したら、解体業者と工事請負契約書の取り交わしを行い、解体工事に着手します。

また、工事中には騒音や振動、粉塵の発生等で近隣住民へ迷惑を掛ける可能性があるため、必ず工事に着手する前に近隣挨拶を行っておくようにします。

解体工事終了後には現場で解体業者立ち合いの上完了検査を行い、解体後の状況や整地の状態を確認しておくようにしましょう。

火事に遭った建物の解体工事の手順

火事に遭った建物の解体工事の手順

火事に遭った家屋はたとえ全焼でなくても、消火活動のために水浸しになってしまうことがほとんどなので、消火活動が終わった後には解体するようになることが多いようです。

そこでこの章では、火事に遭った建物の解体工事の手順について紹介します。

近隣住民への挨拶

火災後は火災発生のお詫びとしてすでに近隣住民に対して挨拶回りを行っていることが多いと思います。

その上で、解体工事中には何かと迷惑を掛ける可能性があるため、解体工事に着手する前に再度近隣の方々に工事開始の挨拶を行います。

解体工事の着工

火災現場の解体工事は通常の解体工事と同様に、工期は7日〜10日前後となります。

建物を解体したら次に基礎の撤去を行い、最後に敷地内をきれいに整地して作業終了となります。

また、解体工事で発生したゴミは基本的にはリサイクルできず、廃棄処分されるケースが多いようです。

施主による最終確認

解体工事が終了後は解体業者立ち会いのもと施主による最終確認

解体工事が終了したら、解体業者立ち会いのもとで工事完了の検査を行います。

修正すべき点があれば立ち会い検査の際に申し出て、解体業者に手直し工事を依頼します。

近隣住民への報告

工事が全て完了したら、工事の終了報告を兼ねて工事協力のお礼の近隣挨拶を行います。

何か気になる点があれば、近隣挨拶の際に指摘してもらうようにしましょう。

工事代金の支払い

最後に解体業者に工事代金の支払いを行って完了となります。

火事に遭った建物の解体費用の目安

火事に遭った建物の解体費用の目安

火事によって罹災した物件の廃棄物はリサイクルに回すことができずに廃棄処分になることがほとんどなので、通常の解体工事よりも費用が高額になります。

火災現場の解体工事では焼け残った残骸の処分に多く費用がかかります。

30坪の木造住宅が火事によって罹災した場合の解体費用は200~250万円前後になるといわれ、RC造の住宅の場合には実に1,000万円近くにもなるケースがあるといいます。

一般的に木造住宅の解体費用の相場は1坪あたり3~4万円程度(30坪の場合90~120万円程度)といわれているので、かなり高額になることがわかります。

また、火災現場に残された家具や家電等の残置物が多い場合には更に費用が高額になります。

そのため、火災保険を利用したり補助金制度を活用したりするなど、資金調達面で工夫することが求められるようになります。

火災残骸処理費用制度とは

火事による解体工事の費用負担をできるだけ軽減するためには、火災残骸処理費用の補助金制度を利用する方法があります。

火災残骸処理費用の補助金制度とは、行政が火災ゴミの処分費用の一部や全部を負担してくれるものです。

地域によって制度の有無や費用負担の額が異なり、制度自体がない地域もあります。

しかし制度がある場合には、火災保険の利用と併せてこれらの補助金制度を上手に活用することで、経済的な負担を軽減することが可能になります。

火事に遭った建物の解体費用が高くなる原因

火事に遭った建物の解体費用が高くなる原因

火事に遭った建物なのかどうかに関わらず、解体費用の内訳としては基本的な解体費用のほかに人件費、産業廃棄物処理費、諸経費などがあります。

解体費用に関しては地域によって価格差があり、東京都が最も高額で地方にいくほど安くなる傾向があります。

人件費は職人の1日あたりの日給がベースとなっていて、1~2万円程度が相場になっていますが、人件費も地域によって価格差があります。

また、産業廃棄物処理費は解体した家屋の廃材を処分するための費用です。

諸経費は足場の設置費用のほかに、防音防じん対策費用や養生費、重機の燃料費などで、近隣挨拶時の粗品代等を含む近隣対策費などもこの中に含まれます。

また、通常の解体工事では再利用可能な建材の回収が行われていますが、火災現場の解体工事では基本的に再利用可能なものはほとんどありません。

そのため、木材や建材をはじめ燃えてしまった家具や家電、日用品などを処分するための産業廃棄物処理費用が通常よりも高額になります。

火事に遭った建物の解体費用を安くする方法

火事に遭った建物の解体費用を安くする方法

この章では、火事に遭った建物の解体費用を安くする方法を紹介します。

罹災者対象の補助金や助成金を受給する

自治体によっては、火事の罹災者に対して補助金や助成金を支給しています。

補助金や助成金の額は自治体によって異なりますが、いずれの場合であっても補助金や助成金を申請する際には罹災証明書が必要になります。

災害見舞金制度を利用する

災害見舞金とは、自然災害や火災(火事)などにより住戸に被害を受けた世帯に対して自治体が支給する見舞金のことをいいます。

見舞金制度自体を設けていない自治体もありますが、火事や台風被害などの災害に遭った方を対象に「災害見舞金制度」を設けている地方自治体があります。

見舞金の額や申請の条件などについては市区町村によって異なるので、お住まいの地域にどのような制度があるのかをインターネットで検索して調べてみると良いでしょう。

また、自治体だけではなく企業が雇用者に対する福利厚生の一環として災害見舞金制度を設けているケースもあります。

災害見舞金制度は企業側に義務付けられている訳ではありません。

近年では台風や地震などの自然災害による被害が多発しているため、雇用者を支援する災害見舞金の重要性が高まってきています。

火事の被害に遭った場合は、自分の職場に見舞金制度があるかどうかを確認しておくと良いでしょう。

災害見舞金の支給額の例

各自治体の災害見舞金の支給額の例を紹介します。

〈全焼の場合〉

自治体名一般世帯単身世帯
北海道札幌市30,000円30,000円
東京都港区70,000円50,000円
東京都中央区60,000円30,000円
神奈川県横浜市50,000円30,000円
大阪府大阪市40,000円40,000円
広島県広島市45,000円30,000円
福岡県福岡市100,000円100,000円

〈半焼の場合〉

自治体名一般世帯単身世帯 
北海道札幌市20,000円20,000円
東京都港区50,000円40,000円
東京都中央区40,000円20,000円
神奈川県横浜市30,000円20,000円
大阪府大阪市20,000円20,000円
広島県広島市30,000円20,000円
福岡県福岡市50,000円50,000円

災害見舞金の額は自治体によって大きく異なります。

また、災害見舞金を申請する際には被害区分(被災の種別)や発生日時、被災した場所をはじめ、氏名や生年月日などを申請書に記入して、罹災証明書などを添付する必要があります。

一般廃棄物処理費用減免制度を利用する

一般廃棄物処理費用減免制度とは火災で燃えてしまった家具や家電、衣類、日用品などの燃えかすを地方自治体の費用で処分できる制度です。

自治体によって条件や減免額が異なりますが、この制度を利用することで廃材処理費用を安く抑えることができます。

一度「廃棄物処理費用減免制度 ○○市」と入力して、該当する地域の制度をインターネットで検索してみると良いでしょう。

ただし処理手数料の減免措置を受ける場合には、事前に所定の手続きをとって、火災に伴う家財道具等のゴミを自ら搬入する必要があることがほとんどです。

火災ゴミの撤去を解体業者に依頼すると通常の産業廃棄物として扱われてしまうので、火災ゴミとして処分するよりも費用がかかってしまいます。

そのため、火災後の解体費用を少しでも安くするためには、解体業者に依頼する前に自分で運べるゴミは自分で処理しておくことをおすすめします。

また、火災保険によっては火災ゴミの撤去費用が補償されることもあるので、事前に保険会社に確認しておくと良いでしょう。

自治体による減免制度の一例

自治体による一般廃棄物処理費用減免制度の例には次のようなものがあります。

自治体名内容
東京23区処分費用の90%を減額
神奈川県横浜市処分費用を全額免除
大阪府大阪市処理費用を全額免除(ただし15トン以内)
愛知県名古屋市処理費用を全額免除

※ただし減免されるのはあくまでも処分費用のみで、運搬・収集には別途費用がかかります。

火事後に解体工事を行う際の注意点

火事後に解体工事を行う際の注意点

この章では、火災に遭った建物を解体する際の注意点や解体業者の探し方のポイントを紹介します。

火災保険の適用範囲を確認

火災後に解体業者に建物の解体工事を依頼する際には、事前に火災保険の適用範囲について確認しておくことが大切です。

火災被害の大きさや程度によって保険金額が変わるため、保険会社では火災被害の状況確認を行ってから保険金の額を算定します。

そのため、事前に保険会社に連絡し、いくらまでであれば保険で費用負担してもらえるのかを確認しておきましょう。

万一保険会社に連絡せずに解体工事を進めてしまった場合には、保険金を受け取ることができなくなってしまうことがあるので注意が必要です。

必ず解体業者に依頼する

必ず解体業者に依頼する

ひと通りの手続きや火災ゴミの処分が終わったら、解体業者に解体工事を依頼します。

火災被害に遭ったからといって建物の解体方法や工程などは一般的な建物の解体工事と大きく変わることはなく、足場や大型の重機などが必要になることがほとんどです。

そのため、必ず解体のプロである解体業者に依頼するようにしましょう。

ただし一般的な建物の解体工事と変わらないといっても、プロであればどこの解体業者に頼んでも良い訳ではありません。

また、中には人の弱みにつけ込んだ悪質な業者も存在しています。

不慣れな業者に依頼してしまった場合には後々高額な追加料金を請求されてしまうことなどもあるので、火災現場での解体経験がある業者に依頼すると安心です。

複数の業者から見積もりを取得する

解体費用を安く抑えるためには複数の業者に相見積もりを依頼して、各社の見積もり書の内容を比較検討することが欠かせません。

特に火事に遭った建物の解体工事は通常よりも費用が高額になる傾向があるため、見積もり書の内容をしっかりと精査する必要があります。

1社の見積もり書だけを見ても一般の方には高いか安いかの判断がほとんどつかないので、複数の見積もり書を比較することで適正な価格で発注できるようになります。

まとめ

火災被害に遭った建物の解体工事費用は高額。利用できる制度を活用すると良い。

火災被害に遭った建物の解体工事は、通常の解体工事よりも費用が高額になってしまうことがほとんどです。

しかし火災保険の保険金や自治体が定めた補助金制度、減免制度、災害見舞金などをフルに活用することで、火災で受けたダメージを少しでも解消することが可能になります。

知らずにいると損をしてしまうことにもなりかねません。

火事により罹災した物件の手続きの流れや工事手順、解体費用を少しでも安くする方法などを知って、利用できるものはできるだけ利用するようにしましょう。

\ 見積もり後のお断りも大丈夫 /

この記事のライター

亀田 融

東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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