【罹災証明書ガイド】自然災害・火事に使える!罹災証明書の申請方法・手順・メリット

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災害時に使える!罹災証明書の申請方法・手順・メリット

近年では台風や地震などの自然災害によって、住宅が損壊する事故が増えています。

自然災害によって住宅等に被害が生じたときには公的支援を受けることができますが、公的支援には罹災証明書が必要です。

また火事により被害を受けた場合も、支援を受けるためには罹災証明書を所得する必要があります。

罹災証明書は保険金を請求する際にも提出を求められることが多いので、あらかじめ罹災証明書の申請方法や適用範囲などについて知っておくことが大切です。

この記事では、罹災証明書の申請方法や申請費用、申請から発行までの流れなどについて詳しく紹介します。

罹災証明書(り災証明書)とは?

罹災証明書(り災証明書)とは?

罹災証明書とは、自然災害や火災などによって住宅が損壊する被害を受けた場合に、被害状況の調査に基づいて被害の程度を認定し、公的に証明する書類のことをいいます。

この際の被害認定調査は市町村側が行いますが、罹災証明書公的支援を受けるためや保険を請求する際にも必要になることが多いです。

被害にあったら早めに申請しておくことが大切です。

そこで罹災証明書の申請方法や、対象となる災害、被害について詳しく見ていきましょう。

対象となる災害

罹災証明書が発行される対象となる災害は国や県によって指定された災害ですが、自治体によって多少異なることがあります。

一般的には災害対策基本法によって定められた暴風、竜巻、豪雨、洪水、地震、津波、噴火、地滑り、土石流などの異常な自然現象による災害です。

その他、火事、爆発などが対象となります。
(内閣府:災害対策基本法について

また、罹災証明書の発行は火災によるものについては消防署で、火災以外の災害については市区町村役場で行います。

対象となる被害

罹災証明書は、災害により被害を受けた家屋のうち、住家及び非住家(事務所、店舗、別荘等の罹災時に使用していなかったもの)の被害の程度について証明するものです。

しかし人が居住していない非住家については罹災証明書の対象とならないケースもあり、この場合は罹災証明書の代わり被災証明書が発行されます。

また、市区町村によっては、農業用施設・設備などの被害も対象となります。

罹患証明書の認定基準は以下になります。

全壊建物が倒壊した場合や損壊が著しく補修が困難な場合
損壊した部分の床面積が全体の50%以上の場合
大規模半壊損壊が激しく元通りに居住するためには大規模な補修が必要な場合
損壊した部分の床面積が全体の40%以上50%未満の場合
半壊補修すれば元通りに居住できる場合
損壊した部分の床面積が全体の20%以上40%未満の場合
準半壊全壊や半壊には至らないが補修を必要とする場合
損壊した部分の床面積が全体の10%以上20%未満の場合
一部損壊軽微な損傷を受けたもので、損壊部分が住家の床面積の10%未満の場合
床上浸水住戸の床上に浸水した場合や、土砂などが流れ込んで一時的に居住することができなくなった場合
床下浸水床上浸水に至らない程度に浸水した場合
全焼火災によって家が「全壊」と同程度の被害を受けた場合
半焼火災によって家が「半壊」と同程度の被害を受けた場合
※横にスライドしてください。

多くの自治体では罹災証明書の対象は住宅の被害に限っていますが、自治体によって「死者」「行方不明」「重傷」「軽傷」などの人的被害も対象に加えていることもあります。

罹災届出証明書(被災届出証明書)との違い

罹災証明書と似たものに、罹災届出証明書があります。

罹災証明書が市職員等の調査により罹災の内容を証明するものであるのに対し、罹災届出証明書(被災届出証明書)は罹災証明書の届出を受けたことを証明するものです。

罹災届出証明書はあくまでも届出があったことを証明するものなので、災害との因果関係や被害の程度等を証明するものではありません。

罹災証明書申請の手順

罹災証明書申請の手順

実際に罹災証明書の発行を受けるためにはどの様にすれば良いのでしょうか。

この章では、罹災証明書の申請の手順を紹介します。

申請方法

台風、豪雨、竜巻、洪水、地震、津波などの自然災害によって被災した場合には、市区町村の担当部署に罹災証明書の発行申請を行います。

また、火災の場合には、被災した場所を管轄する消防署へ発行申請するのが一般的です。ただし自治体によっては異なる場合もあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

申請できる人

罹災証明書の発行申請は、被災した住家の居住者(本人、配偶者、同居の親族等)または所有者が行うことになっています。

第三者が代理人として申請することも可能ですが、その場合には委任状が必要です。

被災者と同一世帯の方や三親等以内の親族、法定代理人などによる申請の場合には委任状のほか、被災者との関係がわかる戸籍謄本や住民票などが必要になります。

申請に必要な書類

罹災証明書の発行を受けるために申請に必要な書類

自治体によって多少の違いはありますが、申請に必要な主な書類は以下の通りです。

罹災証明交付申請書
被害状況が確認できる写真
身分証明書
印鑑
委任状
※代理人が申請する場合

罹災証明交付申請書は市区町村によって書式が異なりますが、市区町村によっては自治体のホームページからダウンロードできるようになっています。

また、被害状況が確認できる写真は罹災証明書の申請においてとても重要な役割を果たします。

災害で被害を受けたら、片付ける前に必ず可能な範囲で撮影しておくようにしましょう。

そして一般的には運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類と印鑑を持参する必要があります。

もしそれらが災害で消失してしまった場合も申請は可能なので、市町村の担当部署に相談してみましょう。

代理人が申請する場合には委任状が必要になるので、忘れずに用意しておきましょう。

申請先

罹災証明書の申請先は罹災した住家等の所在地にある、市区町村などの自治体の担当部署です。

なお、火災の場合の申請先は所轄の消防署になることがほとんどです。

申請期限

罹災証明書の申請期限は自治体によってさまざまです。

災害発生時から3か月としていることが多いようですが、大規模災害の場合には申請期限が延長されることもあります。

しかし期限が過ぎてしまうと申請できなくなってしまうこともあるため、自治体のホームページなどで事前に必ず確認しましょう。

証明手数料

罹災証明書の発行手数料は無料で、必要な枚数を発行してもらうことができます。

余裕を持った枚数を発行してもらっておくと、さまざまな場面で利用することができます。

被害状況の撮影の仕方

自然災害や火災によって住まいが被害を受けると、ショックのあまり何から手をつけたら良いのかパニックになってしまうかもしれません。

しかしさまざまな行政の支援を受けるためにも、片付けや修理を行う前に家屋の被害状況を写真に撮って保存しておくことが大切です。

市町村へ罹災証明書を申請して支援を受ける際や、保険会社に損害保険を請求する際などに非常に役立ちます。

ここでは被害状況の撮影の仕方を紹介します。

屋外での撮影方法

カメラやスマホなどでなるべく周囲4方向から撮影します。浸水した場合には、浸水の深さがわかるようにメジャー等を使って撮影すると良いでしょう。

屋内での撮影方法

被災した部屋ごとに全景写真と被災箇所の写真を撮影をします。この際、被災した部屋や箇所は全て撮影してください。

罹災証明書申請から発行まで

罹災証明書申請から発行まで

罹災証明書の申請から発行までの流れはどの様になるのでしょうか。ここでは罹災証明書発行までの流れと注意点を紹介します。

自治体による現地調査

罹災証明書の発行申請を行うと、自治体の調査員による現地調査が行われます。

調査は内閣府が定めた方法に従って行われますが、主に目視によって建物の損壊の程度を把握し、建物の傾きを計測します。

また、被害が建物の内部にも発生している場合には、被災者からの申し出によって内部の調査も行います。

被害認定調査の内容や被害認定基準の詳細についてはこちらを参考にしてください。

内閣府:防災情報のページ「災害に係る住家の被害認定」

発行に要する期間

現地調査を終えた市区町村の担当職員は、内閣府の被害認定基準の運用指針に沿って被害の程度を判定します。

判定から罹災証明書発行までの期間は現地調査を終えてから最低でも1週間程度はかかりますが、災害の規模が大きい場合には1か月以上かかることもあります。

また、罹災証明書の認定結果に不満がある場合には、不服を申し立てることができます。

その結果再調査してもらえる場合もあるので、どうしても認定結果に納得できない場合にはその旨を伝えましょう。

自己判定方式とは?

自治体によっては、自己判定方式(写真による判定)により罹災証明書を発行できることがあります。

それは、住家の被害の程度が明らかに軽微であり、居住者自身が「準半壊に至らない(一部損壊)」という被害の程度に同意できる場合となります。

現地での調査は行わないので、申請者は短時間で罹災証明書を受け取ることができるのがメリットです。

罹災証明書があると受けられる支援

罹災証明書があると受けられる支援

罹災証明書があると受けられる支援には、公的支援と民間支援があります。

公的支援では災害復興住宅融資が受けられたり、仮設住宅や公営住宅への入居が優先的に入居できます。

また、自然災害にあった家の解体工事を行うための補助金を受けることも可能です。

家屋を解体した後には1か月以内に滅失登記を行う必要がありますが、その際にも罹災証明書が必要になります。(滅失登記をしないと翌年以降も固定資産税が課されてしまいます)

また、被災者生活再建支援金や義援金の支給が受けられたり、被害のあった家屋や土地の固定資産税や国民健康保険料が一時的に減免または猶予される可能性もあります。

その他では、被災したことにより滅失・損壊した不動産に代わる不動産を取得した場合には、不動産取得税の減免が受けられる場合があります。

早めに市区町村の担当部署に相談してみましょう。ただしその際にも罹災証明書が必要になります。

民間支援では金融機関が有利な条件で融資を行ってくれたり、災害保険の保険金を請求することができたりするので、必ず罹災証明書を取得しておくことが大切です。

罹災証明書の注意点

罹災証明書の注意点

前述したように、自然災害や火災で住まいが被害を受けた時には、罹災証明書を取得しておくことでさまざまなメリットがあります。

ただし罹災証明書はどんな場合にも発行されるわけではありません

登記又は未登記の固定資産税が課税されている建物が対象

罹災証明書の発行は、登記又は未登記の固定資産税が課税されている建物が対象になります。

固定資産税が未納の場合は対象にならないので、注意が必要です。

災害の発生を確認できない場合には発行されない

写真及び現地調査の結果、災害の発生を確認できない場合には申請しても罹災証明書は発行されません。

まとめ

自然災害や火災などで被害を受けた場合には、早めに罹災証明書申請を

自然災害や火災などで家屋が被害を受けた場合には、罹災証明書があることで各種公的支援や保険金の請求手続きをスムーズに行うことができます。

そのため、これらの原因によって家屋が損壊した場合には、できるだけ早めに必要な書類を揃えて市区町村の担当窓口に罹災証明書発行の申請を行うことが大切です。

また、その際には被害を受けた家屋の外観や損傷個所などの写真が非常に重要になるので、必ず写真を撮っておくことを忘れないようにしましょう。

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この記事のライター

亀田 融

東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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