神戸市の空き家税制優遇廃止とは?廃止前と廃止後の空き家にかかる税金を解説

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神戸市は2021年度から利活用の見込みがない全ての空き家について、一定の条件を定めたうえで固定資産税の税制優遇措置(空き家税制優遇措置)を順次廃止しています。 

従来税制優遇を停止できるのは、倒壊の恐れや景観を損なう恐れがある「特定空き家」に限られていましたが、神戸市はここに大きなメスを入れたことになります。 

そこで今回の記事では、神戸市の空き家優遇税制の廃止について詳しく解説します。

そもそも、空き家の税制優遇とは? 

神戸市の空き家税制優遇廃止

現在は、課税される年の1月1日(賦課期日)の時点で、住宅やアパート等の居住用家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)については、土地に対する固定資産税や都市計画税が軽減されています。 

これを「住宅用地の特例措置」といいます。 

住宅用地の軽減措置特例とは 

「住宅用地の特例措置」を詳しく解説します。

住宅用地の軽減措置特例では、土地に建っている建物に人が住んでいる場合だけではなく、たとえ空き家であっても建物があれば税金が軽減されます。 

具体的には200㎡までの部分については固定資産税が1/6都市計画税が1/3軽減され、200㎡を超える部分については固定資産税が1/3、都市計画税が2/3まで軽減されます。 

例えば250㎡の土地に一戸建て住宅が建っている場合には、土地の固定資産税額は次のようになります。(都市計画税の計算は省略します) 

※ここでは土地の課税標準額を3,000万円、固定資産税の税額は課税標準額の1.4%とします。 

(土地の課税標準額3,000万円×200/250×1.4%×1/6)+(土地の課税標準額3,000万円×50/200×1.4%×1/3)=9.1万円 

一方、更地の場合(住宅がない場合)の固定資産税は次のようになります。 

土地の課税標準額3,000万円×1.4%=42万円 

したがって、土地の固定資産税は住宅が建っていると土地だけ(更地)の場合よりも32.9万円安くなります。 

また住宅が建っている場合には、このほかに建物にも固定資産税がかかります。 

建物の課税標準額を600万円とすると、建物の固定資産税は600万円×1.4%=8.4万円になります。 

この場合の土地と建物の固定資産税の合計は9.1万円+8.4万円=17.5万円なので、空き家でも建物があれば更地の場合よりも税金が24.5万円安くなることがわかります。 

以上のことから、たとえ空き家でも建物が建っていた方が固定資産税が安くなるということがわかります。

神戸市の空き家税制優遇廃止とは? 

神戸市の空き家税制優遇廃止とは?

ここまで空き家の税制優遇について解説しましたが、神戸市は「2021年度から空き家にも適用されていた固定資産税の税制優遇を除外する」と発表しました。

従来は、後ほど解説する「特定空き家」に指定され勧告を受けなければ税制優遇の適用が除外されることはありませんでした。

今回の取り組みにより特定空き家に指定されなくても、利活用されていない住居について固定資産税の税制優遇が廃止されることになりました。 

なお、神戸市によると従来年間7万円だった土地の固定資産税が、税制優遇が廃止されることでおよそ3.5倍の年間24.5万円の支払いが求められるようになるといいます。(産経ニュースより) 

空家等対策特別措置法による「特定空き家」とは?

空家等対策特別措置法とは

適切に管理されていない空家は景観の悪化や放火による火災、老朽化による倒壊など、安全面・防犯面・衛生面・景観面などでさまざまなトラブルを引き起こす恐れがあります。 

このように全国で増加している空き家が社会問題化している中で、平成26年11月に国会で「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称 空家等対策特別措置法)が成立しました。 

この法律では、自治体が空き家の実態調査や空き家所有者への適切な管理の指導ができると共に、適切に管理されていない空き家を「特定空き家」に指定することができます。 

特定空き家に認定されてから行政代執行までの流れ 

「空家等対策特別措置法」では適正に管理されていない空き家を「特定空き家」とし、所有者に対して市町村が行政指導を行い、それでも状況が改善されなかった場合には行政代執行を行うことができます。 

市町村が空き家の調査を行って特定空き家に認定してから行政代執行までの流れは、次のようになります。 

  1. 空き家の調査 
  2. 特定空き家に指定 
  3. 助言・指導 
  4. 勧告(住宅用地の特例の対象から除外) 
  5. 命令(従わない場合には50万円以下の過料) 
  6. 行政代執行 

ただし老朽化が著しい空き家だからといってすぐに特定空き家に指定されるわけではなく、改善を考えているのであれば猶予期間があります。 

また行政代執行が行われるのは原則として緊急性が高いと判断された場合で、放置されているゴミの撤去、道路に越境している木の伐採、倒壊の危険性がある家の解体が行われます。 

行政代執行にかかった費用はすべて所有者に請求されることになるので、放置しておけば行政が無償で対応してくれるわけではないので注意しましょう。

神戸市の空き家税制優遇廃止のメリット 

神戸市の空き家税制優遇廃止のメリット

空き家は、現時点では近隣に悪影響を及ぼしていないとしても長年放置しておくことで建物の老朽化が進行し、併せて所有者も高齢化していくために様々なリスクが年々高まっていきます。 

そのため今後も利用するあてがない空き家については、より早い段階から活用方法を検討していくことが地域社会の持続可能性を高めていく上でも非常に重要になります。 

そこで空き家の固定資産税優遇を廃止することで長年空き家を放置しておくメリットがなくなるため、将来に問題を先送りしないことに繋がります。 

さらに人口減少地域では、空き家に対する固定資産税の優遇を廃止することで税収の改善にもなります。 

空き家に対する税制優遇が廃止されることで、所有者が空き家の再利用や土地の利活用を行うようになることが期待されています。

解体工事は年々値上がりしているので早めに対処しよう

解体工事は年々値上がりしているので早めに対処しよう

解体工事費用は近年値上がりしている傾向があり、この傾向は今後もしばらく続くことが予想されます。 

とくに廃棄物処分費用の高騰が顕著で、数年前と比較すると約2倍に値上がりしたといわれています。 

近年の自然災害の多発による廃材の処分や、行き場を失った資源ごみの処分などで全国の最終処分場のキャパがオーバーしつつあるのが原因ですが、すぐに最終処分場が増える訳ではありません。 

また解体費用が高騰している原因のひとつには、建築現場での慢性的な人手不足があります。 

解体工事の現場では廃棄物の分別作業が煩雑過ぎて、作業員の手作業に負わざるを得ないというのが現状です。 

そしてこれらの問題が解消する可能性は今のところ少ないといえるので、解体費用が近い将来値上がりすることはあっても値下がりすることはないでしょう。 

したがって、解体工事はできるだけ早めに行っておくことが大切です。 

詳細はこちらの記事を参考にしてください。 

まとめ 

解体工事は年々値上がりしているので早めに対処しよう

都市部に住みながら親からの相続などで地方に空き家を所有している方は決して少なくないでしょう。 

現在は空き家のまま所有していても税制優遇が受けられるので、なんとなくそのままにしている方が多いのではないでしょうか。 

しかし老朽化が進んで「特定空き家」として認定されたり、神戸市のように空き家の固定資産税優遇が廃止されたりするようになったら、空き家を所有していること自体が大きな負担にもなりかねません。 

特に神戸市の流れは今後全国に波及する可能性があるので、神戸市以外に空き家を所有している方も早めに対策を立てておくことが望まれます。 

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この記事のライター

亀田 融

東証一部上場企業の不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。 13年間の現場管理経験を経て、取締役事業部長に就任。事業部内で年間1000件以上のリフォーム工事を手掛けるなかで、中立的立場でのコンサルティングの必要性を実感し、独立を決意。現在はタクトホームコンサルティングサービスの代表として、住まいに関する専門知識を生かし、多岐にわたり活躍している。 (保有資格:一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、JSHI公認ホームインスペクター、インテリアコーディネーター、マンションリフォームマネジャー、日本不動産仲裁機構ADR調停人)

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